ゴジラが全国の球児たちにエールを送った。巨人、ヤンキースで活躍した松井秀喜氏(39)が7日、大阪府内でトークイベント「甲子園は永遠に」を行った。招待された府内中学校の野球部員100人を含め、300人のファンを前に伝説の5打席連続敬遠などの思い出を振り返った。松井氏は今日8日に甲子園を訪れ、第95回全国高校野球選手権の開会式と第1試合を観戦する。21年ぶりに触れ合う高校野球で、球児たちに貴重な人生経験を得ることに期待した。

 松井氏は1時間半、熱く、語りかけた。目の前には中学生の野球部員100人と、9倍の応募倍率をかいくぐった200人のファンがいる。だが、その先にいる甲子園を目指す全国の球児たちにもメッセージを伝えるように話した。

 松井氏

 野球だから勝った負けたはある。でも、ああいう時代に野球に熱くなれて、いろんな経験をさせてもらった。それが高校野球の素晴らしさだと思う。

 松井氏にとっての甲子園は5打席連続敬遠と切っても切り離せない。「5打席連続敬遠された打者だと証明しないと、という思いは持ち続けた。大きなエネルギーになった」と感謝すらしているという。

 米国のアマチュア野球も知っているからこそ、甲子園の素晴らしさを痛感する。「高校野球の全国大会は米国にはない。日本には、もうすぐで100年という素晴らしい歴史ある大会がある。日本の野球少年は恵まれていることを、心の中にとどめてほしい」。世界で唯一無二の存在ある甲子園が、球児たちにもたらす希望は計り知れない。

 高校野球を通じて得たのは最高の仲間でもあることを強調した。この日は星稜高野球部の同級生でもある朝日新聞記者もトークイベントに参加。「山へのランニングを俺らが途中でサボッても、最後まできっちり走っていた。ゆっくりでしたけど」とエピソードを明かされると「だから実力の差が開いたんです」と“口撃し”、場内の笑いを誘った。

 今日8日には甲子園を訪れ、開会式と第1試合を観戦する。高校野球では21年ぶりの聖地凱旋(がいせん)に「ありのまま感じたい。当時を思い出しながら、高校生のプレーを見たい」と胸をときめかせた。そして甲子園の土を踏む49校の選手たちにエールを送った。「最高の舞台で野球がやれる。野球の試合だから、いろいろ起きるけど、すべてをいい思い出、経験にしてほしい」。甲子園に育まれた先輩からの贈る言葉だった。【広重竜太郎】