<高校野球春季宮城大会:古川1-1塩釜>◇20日◇1回戦◇仙台市民球場

 宮城の春は延長15回引き分け再試合で幕を開けた。古川と塩釜の開幕試合は3時間19分の激闘の末、1-1で決着つかず。春季県大会の15回引き分けは06年5月22日の準々決勝、東陵-宮城水産戦(2-2)以来7大会ぶり。再試合は今日21日に行われる。

 欲しかった勝ち越し点は奪えなかった。4回に塩釜が阿部祐太朗主将(3年)の右前適時打で追いついて以降、両チームとも三塁まで走者を進めながらスコアボードにはゼロが並び続けた。06年には宮城水産を率いていた塩釜の佐藤純二監督(39)は「相手ピッチャーの気迫がすごかった。また再試合です」と苦笑い。178球を1人で投げ抜いた古川の右腕エース中條光之助(3年)は「勝ちきれなかったのが悔しい」と唇をかんだ。

 初戦の緊張感と勝利への焦りが出た。05年以来の出場となった古川は8回1死二、三塁と延長10回1死三塁のチャンスで2度スクイズ失敗。中條は「どうしても1点取りたい場面だった」。犠打は4回までに3度決めていたが、重圧でバットコントロールが乱れた。

 塩釜も84年以来の春の県大会で、はやる気持ちを抑えられなかった。走者が打球の判断を誤り、浅い外野フライに飛び出しての併殺が3度あった。阿部は「早く勝負を決めたい気持ちが出てしまった」。延長15回裏の最後の攻撃も、1死からの右飛で一塁走者は二塁を駆け抜けていた。

 互いに失策は1つずつ。安定した守備と粘りが相手のミスを誘った。10奪三振で自責点1の中條は「15回より先があっても投げられた。明日も気迫で抑える」ときっぱり。阿部も「こっちは(2投手が)継投した。打撃と走塁を修正して攻略したい」と自信を見せた。創部50年以上の歴史ある公立校同士が、遠ざかっていた春1勝を全力でつかみに行く。【鹿野雄太】