<高校野球群馬大会:高崎健康福祉大高崎1-0伊勢崎清明>◇27日◇決勝◇上毛新聞敷島

 高崎健康福祉大高崎が3年ぶり2度目の優勝を飾った。3回2死三塁から星野雄亮内野手(3年)のバント安打で挙げた1点を、3投手による無安打無得点リレーで守り切った。試合後、日米プロが注目する「上州のゴジラ」こと脇本直人外野手(3年)は、甲子園での大暴れを誓った。

 球場の緊張感が最高潮に達した1-0の9回裏2死二、三塁。逆転サヨナラ負けがちらつく大ピンチを捕ゴロで切り抜けると、喜びが一気に爆発した。高崎健康福祉大高崎ナインは両手を突き上げマウンドに突進。もみくちゃに抱き合い、歓喜の輪を作った。

 日米プロ8球団が注目する脇本が1安打に抑えられるなど、強力打線が封じられる苦しい展開。それでも3回2死三塁で、「守備位置が深かった」と2番星野が一塁線にバントを転がし、内野安打で先制点をもぎ取った。この虎の子の1点を、3投手のノーヒットノーラン継投で逃げ切った。

 ぎりぎりで勝ち取った優勝だけに、喜びもひとしおだ。これまで打線をけん引してきた脇本は「応援してくれた人たちに感謝です」と興奮気味に話した。

 感謝した相手の1人は、昨夏の甲子園優勝投手、前橋育英の高橋光成(3年)だ。幼なじみで今でも頻繁に連絡を取り合う仲。「昨年はうらやましかった。今年は自分が結果を出したい」と、その存在を励みに夏を目指してきた。20日の3回戦では、親友と直接対戦。逆転決勝打を放ちチームを勝利に導いた。試合後、高橋からLINE(ライン)で「お前らが甲子園に行ってくれ」と、思いを託された。

 準々決勝ではアクシデントに見舞われた。ヘッドスライディングした際、右手小指を突き指。骨にひびが入った。痛み止めを飲み、ばんそうこうを巻いただけで出場した。準決勝では、高校通算57号となる決勝本塁打。痛みを忘れてバットを振った。

 26日の決勝前夜には、再び高橋から「明日も打てよ」とLINEが届いた。「任せてくれ」と返したが、単打1本のみにとどまった。それでも6回無死一、二塁では「勝つためです」と、きっちり送りバント。点には絡まなかったが、倒した親友の分まで、必死に勝利を追った。

 試合後は、両親の離婚後、自分を育ててくれた祖父桂太郎さん(76)と祖母淑子さん(72)への感謝もあふれた。「2人を甲子園に連れて行くことが自分の夢だった。打って全国制覇です」。群馬勢V2へ、まぶしいほどの活躍を親友に、祖父母に、披露するつもりだ。【加藤雅敏】

 ◆高崎健康福祉大高崎

 1968年(昭43)創立の私立校。01年に共学化し現校名。生徒数は1443人(うち女子1012人)。野球部は01年に創部。甲子園は11年夏初出場、12年春は4強。部員数は71人。OGに女子ショートトラックバンクーバー五輪代表の貞包(さだかね)紘子。高崎市中大類町531。市川賢太郎校長。◆Vへの足跡◆2回戦10-0渋川工3回戦6-2前橋育英4回戦7-0桐生工準々決勝7-0沼田準決勝5-4桐生第一決勝1-0伊勢崎清明