2年ぶり9度目の甲子園出場を決めていた桐生一(群馬)に激震が走った。群馬県警太田署は7月31日、女子高生の体を触ったとして、強制わいせつ容疑で桐生一の高校2年生で、野球部に所属する男子生徒(16=同県太田市)を逮捕した。学校側に出場辞退の意思はなく、日本高野連は1日の全国理事会に諮った上で、最終的な処置を決めると発表。第90回全国高校野球選手権大会は2日に開幕し、1日は開会式リハーサルが行われる。

 現役野球部員の逮捕を受けて、午後7時から同校の高橋昇校長が会見を行った。当該生徒は甲子園の出場メンバーには入っていない。「ハレンチな事件が起きて残念です。1人の生徒の責任は重いものがありますが、他の部員が関与しているものではなく、事件に広がりがないと判断したため、大会には参加させていただきたい」と頭を下げた。出場辞退の意見も出たが「時代的に1人がミスを犯したからといって、全員が責任を負うことはないと思う」と出場を希望した。

 日本高野連は、桐生一の青柳正志部長(53)の事情説明を受け、甲子園入りしている部員29人全員が事件に関与していないことを確認した。連盟の持ち回り審議委員会と1日の全国理事会に諮った上で、同校への最終的な処置を決める。

 事件に関与したのは逮捕された部員1人で、部活動とは直接関係のない時間帯、場所で行われた。日本高野連・西岡宏堂審議委員長は「直ちに対外試合を差し止める必要はないとみられる」との見解を示した。新たな事実が発覚しない限り、桐生一は本大会に出場する可能性が高い。

 調べでは、生徒は7月22日午後9時ごろ、太田市の路上で、帰宅途中の女子高生に背後から近づき、口で手をふさぎ服の上から体を触った疑い。県大会準々決勝の試合後、学校で新チームの練習を行った後の時間帯だった。現場付近では7月に同じような事件が数件発生。警戒中の署員が30日に深夜、現場をうろついていた生徒を見つけて任意同行。事情を聴いたところ、容疑を認めたという。生徒は「性的欲求を満たすためだった」と供述し、同署は余罪を調べている。

 日本高野連の規定では、大会登録変更は大会前日(1日)の午前9時までとある。1日午後2時からの会議で桐生一の出場が見送られても、準優勝校(樹徳)の繰り上がり出場は認められない。この場合、大会6日目に対戦予定だった金沢(石川)は不戦勝になる。

 桐生一が宿泊する大阪市内のホテルには午後から報道陣が詰め掛けたが、選手の出入りはなかった。福田監督は「若干、気落ちしている子も見られました。まだどうなるか分からないので、こっちにいる以上は頑張っていこうと話しました」と苦渋の表情だった。