<高校野球愛知大会>◇23日◇4回戦

 春夏連続の甲子園を狙う中京大中京が昭和を10-0の6回コールドで破った。エース堂林翔太(3年)は22日に長崎大会で敗退したセンバツ優勝清峰・今村猛(3年)の激励メールも力に、5回無失点の好投をみせた。

 試合後の堂林の表情は、2日前の初戦・愛知戦とは大違いだった。先発で5回を無失点。三塁を踏ませず、二塁に走者を背負ったのも1度だけ。3安打、6奪三振、1四死球。尻上がりに本来のテンポと制球力を取り戻した。プロ注目の打撃も初回に二塁打。「いい感じがつかめてきている。手ごたえのあるボールもあった。今日は走りません」と笑顔を浮かべた。

 ふがいない投球に終わった愛知戦後、ユニホーム姿で球場から約7キロ離れた学校まで走って帰った。4月の練習試合で左ひざを負傷。投げ込み不足で開幕を迎え、先発で2回1/3で降板。3四死球の2安打1失点と乱れていた。中1日で一気に調子を上げてきた。

 1通のメールが力をくれた。22日に長崎大会で春夏連覇を目指した清峰の今村が負けた。センバツで仲良くなり、連絡を取り合う親友同士。まさかの敗戦を気遣って、ねぎらいのメールを送ると「絶対甲子園に行け」と返事が来た。文面は短く、やりとりを重ねようとすると「オレ、もう寝る」と一方的に打ち切られたが、クールな今村らしい熱いメッセージに奮い立って、この日のマウンドに上がった。

 「そういうメールをくれたんで、ボクは甲子園に行くしかない」。親友の思いも背負って、激戦区愛知を勝ち抜く。【八反誠】