今季終盤戦のペナントレースは、ブルージェイズが熱い。7月末のトレード期限前に大補強を行ってから快進撃を続け、7月28日に地区首位ヤンキースと今季最大の8ゲーム差と離されていたにもかかわらず、8月12日にはいったん、0・5ゲーム差をつけて首位に躍り出た。地元トロントも大いに盛り上がり、14日からのヤンキースとの首位攻防3連戦は約4万9000人を収容する本拠地ロジャースセンターがいずれも入場券完売で、2次販売市場では同カードの入場券が4倍以上の価格で売買されていた。ユニホームやTシャツを含めたグッズ売り上げは40%もアップし、試合中継の視聴率も急上昇で、トレード期限以降は平均119万世帯の視聴数が記録されているという。

 しかも「ジェイズ・フィーバー」はトロントだけにとどまらず、カナダの国中に広がっているようだ。04年までエクスポズの本拠地だったモントリオールではこれまで、アンチ・ブルージェイズの人々が圧倒的に多かったそうだが、最近はジェイズファンが急増。街にはジェイズの帽子をかぶったファンが目立つようになり、スポーツバーにはジェイズの試合観戦目的で来る人が多くなったという。カナダのファンが「熱い」というのは、川崎宗則選手を見ていても感じてきた。13年にジェイズに移籍して以来、常に懸命にプレーしファンを楽しませる川崎に、地元ファンはどの選手に対するよりも大きな声援を送っている。

 その川崎は8月に今季4度目のメジャー昇格を果たした後、2試合に出場して再びマイナーに戻ったが、出場登録枠が拡大するペナント争い大詰めの9月にはまた昇格する可能性はあるだろう。傘下3Aバファローはトロントから車で約1時間40分と近いがニューヨーク州内にあるため、テレビではヤンキース戦がみられるのでよくみていると、今年バファローを訪ねたとき川崎が話していた。この熱い守備攻防をみながら、きっと来るべき時に備えていることだろう。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)