昨年11月のオーナー会議で承認されたことで、ラスベガス移転が決定したはずのアスレチックス。しかし意外なところから反対の意向を表明する人物が今の段階になって現れた。キャロライン・グッドマン・ラスベガス市長である。これまでもラスベガス移転計画に対しては現本拠地のオークランド市やネバダ州の教育関係者などが反対を主張してはいた。だが、本来移転を歓迎する側であるはずのラスベガス市長が反対するとはかなり奇妙だ。

発端は「フロント・オフィス・スポーツ・トゥデイ」のポッドキャストでの市長の発言である。「個人的には、彼らはオークランドに留まり、彼らの夢を実現させる方法を見つけなければならないと思う」と語ったのだ。

さらにアスレチックスのジョン・フィッシャー・オーナーとデーブ・カバル社長が新しいスタジアムが建設されるのであれば、オークランドに留まることを望んでいることを知っている、とし、「私はオークランドの人々が大好きです。彼らはチームを持つに値すると思う」とまで述べている。

この反発はアスレチックスの新スタジアム建設計画への不満があるようだ。現在チームはラスベガスの世界的に有名な目抜き通り、ストリップにあるリゾート、トロピカーナ・ラスベガスの跡地に建設することを目指している。ただ敷地面積は約3万6420平方メートルしかなく、MLBで最も狭いミネアポリスのターゲット・フィールドよりも少し広いだけだ。また一等地ではあるものの、スタジアムが建設されれば今でもひどい交通渋滞がさらにひどくなるのは必至である。

そのため、市長は「彼らは混雑も何もかもがあるストリップに近づきたがっている。そして、『これでは意味がない』と思ったのです」、さらにトロピカーナの敷地に対し「あれが収まるのか、多くの謎が残る」と話し、市としてはラスベガス北部のより広い場所に球場を建設することを提唱した。

実際、フィッシャー・オーナーは市長のコメント以前にもスタジアム建設予定地の最新の完成予想図を公開する予定であったにもかかわらず延期したり、開閉式の屋根が設置されるかどうかなど、その他の重要な質問に答えなかったりしたことで、非難を浴びていた。

たださすがにまずいと思ったのか、市長はその後「私はラスベガスでのメジャーリーグ実現に興奮しており、ラスベガス・アスレチックスが実現する可能性も十分にあることを明確にしたい」との声明を出している。

アスレチックスの現本拠地コロシアムのリース契約は今シーズンまでとなっており、その後どこでプレーするかがいまだに決まっていない。その上移転計画にまで再び暗雲が垂れ込める事態に困惑するばかりだ。