10年連続10度目のシーズン200安打に挑むマリナーズ・イチロー外野手(36)が23日(日本時間24日)、アリゾナ州ピオリアでキャンプイン。キャッチボール、フリー打撃に外野守備など、約2時間、軽めの練習でスタートした。

 守備練習の合い間にはグリフィーと相撲を取るシーンも。結局、負けてしまったが終始リラックスしたようすだった。キャンプ初日特有の張り詰めたものはなく、既にシーズン中盤のようだ。「これまではもう力入れっぱなしでしたからね」。屈託ない笑顔から自然体の空気が伝わってきた。

 「去年は何となく新しい僕のスタートというか、ようやく礎みたいなものができた。(今年は)初めて(精神的な意味での)力が抜けるんじゃないか、と」。

 WBCでの重圧、胃潰瘍(かいよう)や左ふくらはぎ故障などいくつものピンチをくぐり抜け、心身の耐性が上がった。円熟と余裕をイチロー自身が強く感じているようだ。

 一方で、切れのよい動きは相変わらずだった。キャッチボールの送球、フリー打撃の打球は力強く、軽快なステップも36歳とは思えない。200安打の通年目標は変わらないものの、「あえてそれを口にする必要もないし、去年のことを考えればできないはずはない」と穏やかに言う。

 「それが目的ではなく結果として、数字とは別のところで見てる人(ファン)の気持ちが動いてくれたり、そういう瞬間が多くなればいいな」。

 実戦開始は3月1日の紅白戦。それまでにわざわざギアを上げる必要もないらしい。「(勝手に)そうなるでしょうから」。メジャー10年目のイチローには、達人の気配があった。