<オープン戦:マリナーズ6-6ロイヤルズ>◇12日(日本時間13日)◇米アリゾナ州ピオリア

 今オープン戦初の2安打だった。守備では右翼線寄りへのライナーや、頭上を抜けそうな飛球を軽々と捕る。攻守に順調なマリナーズ・イチロー外野手(36)だが「見てる人がそう思うならそれでいいんじゃないですか。僕から言うことではないです」。自分の状態を語らない姿勢はこれまでと変わらなかった。

 キャンプでは出場試合、打席数などの目安はつくらない。準備段階で結果にこだわったり、ノルマを設けることは、「自分自身を錯覚させてしまう行為」につながると考える。「結果によってそう見えて、自分もそうだと思ってしまう。それが嫌なんです」。

 現時点での備えが終われば、あとは心と体をフィールドで思い切り解放する。アリゾナの陽光とキャンプならではのにぎやかな観客席を背景に、イチローが気持ちよさそうに走る。

 体に任せるままでいれば、自然と本番モードに仕上がっていく。「本当に自分が感じていること(が大事)。現在の自分と対峙(たいじ)できるから」。メジャー10年目の経験則だ。