【オークランド(米カリフォルニア州)20日(日本時間21日未明)=水次祥子】ロイヤルズ野茂英雄投手(39)が、戦力外となった。ロイヤルズはこの日、野茂の降格を決断。マイナー行きのオプションがないため、メジャー枠から外す戦力外通告をした。06年に右ひじを痛め、手術して以来、リハビリを経て3年ぶりにメジャーのマウンドを踏んだ野茂だが、ここまで3試合で防御率18・69と打ち込まれていた。

 野茂がメジャーから落ちた。ロイヤルズは20日、野茂に戦力外通告をした。ロイヤルズは20日のアスレチックス戦の前だが、球場に野茂の姿はなかった。

 ロッカーにも荷物はなく、この日、先発するため3Aオマハから昇格させた06年ドラフト全体1位指名の大型新人ルーク・ホチェーバー投手(24)のユニホームがかけられていた。ベンチ入り25人枠を空けるため、カットされたのが野茂だった。

 野茂はマイナー降格のオプションがないため、メジャー枠から外すには球団が戦力外通告をしなければならない。球団広報によると、ロイヤルズはこの日、ウエーバー手続きを取った。72時間以内に他球団からの獲得の申し入れがなければ、その後にロイヤルズがマイナーに所属とするか、解雇かの選択をする。

 球団がマイナーを選択し、野茂が同意すれば、マイナーから再昇格を目指すことになる。

 この日、同僚の薮田は「昨日夜に、野茂さんは知らせを受けたようで、一緒に食事をしました。野茂さんからは『頑張れよ』と言われました」と話した。

 野茂は06年ホワイトソックスの3Aの時に、右ひじを痛め、手術をした後、リハビリを重ねた。07年冬にはベネズエラのウインターリーグに参加し、今季は招待選手としてロイヤルズのキャンプに参加した。先発投手陣には入れなかったものの、ロングリリーフのできる中継ぎ投手として、4月5日(日本時間6日)に3年ぶりにメジャー昇格を果たした。10日(同11日)には1000日ぶりにメジャーで登板。だが昇格後、イニング途中からの中継ぎなどに結果を出せず、3試合4回1/3を投げ、3発本塁打を浴びて防御率18・69と不調。オープン戦での奪三振率の高さも影を潜め、3試合で3三振に留まっていた。

 3年ぶりにメジャーのマウンドにたどりついたパイオニアだが、わずか2週間での戦力外通告。再びのカムバックを目指すことになるのか。日本人メジャーリーガーのパイオニアとなった男に、再び試練が訪れた。