【ニューヨーク27日(日本時間28日)=千葉修宏】左ひざ痛のヤンキース松井秀喜外野手(34)がオールスター(現地7月15日、ヤンキースタジアム)出場を断念した。メッツとの変則ダブルヘッダーとなったこの日の第1試合後、15日間の故障者リスト(DL)入り。最短では7月8日のレイズ戦(ニューヨーク)から出場できるが、今後の精密検査次第では残りの前半戦絶望の可能性も出てきた。「球宴?

 まったく(考えて)ないです」と断言。04年以来の大舞台は夢と消えそうだ。

 松井は球団からDL入りを通告された。ヤンキースタジアムでの第1試合前、室内ケージで打撃練習を行った。その後、トレーナー付き添いのもと、外野で軽いランニングを行って、首脳陣に左ひざの状態の判断を仰いだ。ジラルディ監督、キャッシュマンGMがDL入りを決断。同監督は大敗した第1試合後、「打撃は良くなっているみたいだが、依然として走ることに問題がある。だからDLに入れる」と発表した。23日にさかのぼっての登録で、最短では7月8日のレイズ戦から戦列復帰できる。

 だが8日からの復帰を焦らせず、チームは松井を残りの前半戦は欠場させてケガの治癒に専念させる公算が大きい。松井本人は「今でも試合に出ようと思えば出られる」というが、階段を下りるのも両手で手すりをつかんで1段ずつ下りるほどで、実戦復帰は到底無理だ。

 ジラルディ監督も厳しい口調で「ずっとひざが良くなるようにと思ってきたが、まったくそうならなかった。完ぺきな状態に戻すためにさらに10日間を与えることにした」という。走力が戻らなければ起用するつもりはなく、加えて球宴前最後のカード、11~13日のブルージェイズ戦(トロント)は下半身に負担のかかる人工芝球場。近日中に行われる精密検査の結果次第だが、前半戦は出場を見送る可能性は高い。

 球宴出場も難しくなった。当初は「正直、出たい。本拠地でオールスターがあって、しかもヤンキースタジアム最後の年。一生の思い出になると思う」と話していたが、現時点では出場に関して大きくトーンダウン。「球宴?

 まったく(考えて)ないです。今はそれよりもまず自分の体調をしっかりするだけですから。まったく頭にないですね」と断念しているかのような口ぶりだ。04年以来の大舞台ははかなく夢と消える見通しが強くなった。

 松井が「仕方ないですね。古傷が治るということはないですから。1回鎮めるというふうに思うしかない」というように、休養だけで左ひざが完治することはありえない。そのため球団内や米メディアの中にも、松井が(巨人時代の)98年から左ひざ痛の手術等をせず、患部を鍛えて痛みを和らげる方法だけをとってきたことを理解できないという声が多いのも事実だ。

 昨年、右ひざ手術を勧めたキャッシュマンGMは「左ひざは10年前のケガだろ」と古傷の重傷度をまったく認識していなかった。だが今回の戦線離脱でその深刻さを痛感。「オフはどういう判断になるかは、ちょっと分からないです」という松井に、強制手術指令を下す可能性も出てきた。

 当面は激しい運動はせずに、左ひざの炎症を取ることが最優先となる。だが試合を休めば、すでに絶望的な100打点をはじめ、最低ラインの20本塁打もピンチ。規定打席到達すら危うい状況だ。「ポサダより速く走れたら(戦列に)戻れるんじゃないですか」という自嘲(じちょう)気味のジョークが、ヤンキースタジアムの廊下に寂しく響いた。