<ブルージェイズ14-3ヤンキース>◇21日(日本時間22日)◇ロジャースセンター

 【トロント(カナダ)=千葉修宏】ヤンキース松井秀喜外野手(34)が、故障者リストから復帰後、初本塁打を放った。誕生日の6月12日の満塁弾以来となる8号3ラン。試合は3-14と大敗したが、“師匠”である長嶋茂雄巨人終身名誉監督の通算444号へ、あと1本に迫る日米通算443号アーチで、日本人大リーガーの通算350号となった。

 自画自賛の当たりだった。大量13点をリードされた7回表1死一、三塁。先発ハラデーの内角90マイル(約144キロ)カットボールを、うまくさばいて右翼フェンスを越えたヤ軍ブルペンへ運んだ。試合後、「インコースの難しいボールだと思いますけど、非常にうまく打てました。若干詰まったんですけど、良い当たりだったと思います」と説明した。

 誕生日の6月12日に満塁弾を打って以来の今季8号は、日米通算443本目のアーチ。師匠の長嶋茂雄巨人終身名誉監督の記録まで、あと1本と迫った。「意識はあまりないんですけど、早く打てたら良いですね」。さらに自身メジャー通算500打点までもあと1打点。22日からのオリオールズ戦(ボルティモア)で今季9号を放ち、ダブル到達を果たしたい。

 それでもチームが大敗したため、試合後は浮かない表情だった。松井は「打った時はうれしいですけど、今日の試合の展開ですから。心から喜べないです」と肩を落とした。首位レイズとは10・5差。ワイルドカードは6差でレッドソックス、ツインズの2チームを追う苦しい展開だ。

 レッドソックスとはまだ6試合残すが、ツインズとは直接対決がない。ただ相手がつまずいてくれるのを待つしかない。そんな状況のため、この日の試合後、ジラルディ監督から松井の本塁打に対するコメントは一切なし。「今日のことは忘れて、また明日戦うしかない」と話すにとどまった。

 松井は「最後までプレーオフに出るということを信じて毎日プレーするだけです」という。この日まで打率2割2分5厘、1本塁打、4打点とほぼ完ぺきに封じられてきたハラデーから打った3ランは、同投手のヤ軍戦無失点記録を20回でストップさせる一打だった。どんな物事もいつかは流れが変わる。それまでベストを尽くすしかない。