大リーグ機構は7日、ドジャースのマニー・ラミレス外野手(36)を薬物規定違反のため50試合の出場停止処分にすると発表した。1回目の違反が50試合の出場停止と規定された06年以降、罰則が適用された選手では最も大物の処分となる。出場停止中は年俸が支払われないため、ラミレスは薬物使用で770万ドル(約7億3200万円)が年俸からカットされるという大きな代償を払うことになった。

 メジャーを代表するスラッガーに、突然の薬物スキャンダルが巻き起こった。ラミレスが、ドーピング検査で陽性だったことが発覚し、50試合の出場停止処分を受けた。07年に大リーグ機構が発表した薬物報告書「ミッチェル・リポート」で名前が挙がらず、これまで薬物のうわさがなかった超大物が、一瞬のうちにダーティー・ネームとなった。

 ラミレスは処分発表後すぐに声明を発表。「最近、自分の健康問題で医師に会った。医師はステロイドの含まれていない問題がないと思った薬をくれた。不幸なことに、それが薬物規定に違反するものだった」と、故意の薬物使用ではなかったことを主張した。

 陽性反応が出た薬物は第一報で、パフォーマンスを高めるための薬ではないかと伝えられた。だがその後複数の大手メディアが、薬物はステロイド使用の痕跡をなくす作用があるHCG(ヒトじゅう毛性ゴナドトロピン)であると報じた。ラミレスは過去5シーズンで15回のドーピング検査で陰性だったが、HCGは2年前までは禁止薬物の指定を受けていなかった。

 所属のドジャースは、突然の主砲の醜聞に動揺を隠せなかった。チームは前日6日のナショナルズ戦で開幕からの本拠地13連勝を記録して98年ぶりに大リーグ記録を更新したが、思わぬスキャンダルに見舞われ、トーリ監督は「誰かが風船に穴を開けた感じだ。失望し、悲しく思う」と落胆した。主砲を欠いたこの日の試合は6-0から逆転負けを喫し、記録更新はストップした。

 ラミレスの出場停止は7日からで、最短で7月3日以降に復帰が可能。今季年俸が2500万ドル(約23億7500万円)であるため、50日分の770万ドル(約7億3200万円)が年俸からカットされることになる。本人はもちろん、チーム、球界への影響は計り知れないものとなりそうだ。