サムライジャパンに立ちはだかったキューバの最速164キロ左腕が亡命した。3月の第2回WBCで世界中のスカウトの目をくぎ付けにし、日本戦にも先発したキューバ代表アロルディス・チャプマン投手(21)が2日(日本時間3日)、国際大会のために滞在していたオランダ・ロッテルダムのホテルから姿を消し、亡命した。今後は大リーグ入りを目指すことを宣言した。

 サムライジャパンとも対戦した世界注目の102マイル(約164キロ)左腕は、警戒されているはずのホテルの出入り口から姿を消した。チャプマン亡命を最初に報じたスペイン語系インターネットサイト「cubaencuentro.com」は、同投手とのインタビューを掲載。「ホテルのドアから簡単に歩いて出られたよ。それから車に飛び乗って、出発したんだ」というコメントを紹介した。

 チャプマンは同サイトに対し「今後の目標は大リーグのチームと契約すること」と明言。これにより資金力のある、ヤンキース、レッドソックス、メッツ、ドジャース、エンゼルス、ホワイトソックス、カブスを中心とした大争奪戦が繰り広げられることになった。

 WBCでは第2ラウンドの日本戦に先発。ボールの見極めを徹底され、序盤2回で3四球を与えて自滅したが、1回には101マイル(約163キロ)を計測し評判通りの速球でスカウト陣を喜ばせた。

 争奪戦の中心になると見られるのがヤ軍。ニューマン上級副社長は米スポーツ専門テレビ局ESPNに対し「当然、ウチも獲得に興味を示す可能性はあるだろう」とコメントした。4年3200万ドル(約30億4000万円)で契約した元キューバ代表エース、コントレラスは03~04年の2年間で期待はずれの15勝しかできなかった。だが球団首脳にとって、同じキューバからの亡命選手で、ヤ軍のワールドシリーズ3連覇(98~00年)に貢献した「エル・デュケ(公爵)」ことオルランド・ヘルナンデス投手のイメージは、いまだ根強いようだ。

 コントレラスの代理人で、亡命選手を数多く手がけるジェイミー・トーレス氏はチャプマンについて「間違いなくコントレラスが亡命して以来の最高の選手だ」と断言。大リーグ関係者の間では、チャプマンの契約は、コントレラスがヤ軍と契約した4年30億円を軽く上回るだろうという声が上がっている。

 チャプマンは予定では来週9日にも、大リーグ球団との交渉のため米フロリダ州マイアミに入ることになっている。ただ米国に亡命すると、ドラフトにかかる必要性が出てくるため、同投手は今後、カリブ諸国など第3国への亡命を希望すると見られる。チャプマンは「兄弟も両親も、出産したばかりの妻もキューバに残してきた。まだどのチームとも契約していないが、米国でやる以上、世界最高の左腕になるのが目標だよ」と意気込んでいる。