【ニューヨーク25日(日本時間26日)=大塚仁】ヤンキースからFAとなった松井秀喜外野手(35)に興味を示していた球団が続々と撤退モードとなった。この日、ホワイトソックスが今季レンジャーズで主に指名打者(DH)を務めたアンドルー・ジョーンズ外野手(32)を獲得。役割の重なる松井獲得に乗り出す可能性はほぼ消滅し、マリナーズに続いて事実上の撤退。ヤンキースは来月3、4日にオーナーを交えた編成会議を行ってから本格的な残留交渉を始めるが、松井の選択肢が徐々に少なくなってきた。

 松井に興味を示していた球団が、次々に事実上の撤退となる補強を完了させている。この日、DH(指名打者)と外野手が補強ポイントだったホワイトソックスが、ジョーンズ外野手を1年契約で年俸50万ドル(約4500万円)プラス出来高100万ドル(約9000万円)で獲得した。今季ジョーンズはレンジャーズで出場した82試合のうちDHでの先発が53試合、左翼が12試合。松井と異なるのは右打者というぐらいで、同じ役割の松井からは手を引いた格好となった。

 また松井に興味を示していた球団の1つだったマリナーズは、11日にグリフィー外野手と1年235万ドル(約2億1200万円)プラス出来高で再契約。今季は主にDHを務めた通算630本塁打の大砲の残留は、松井獲得消滅に等しい意味を持っていた。ほかに移籍先候補に挙がっているエンゼルス、レッドソックス、メッツなども20日の交渉解禁後もアクションを起こしておらず、静観している状況だ。

 他球団が動きを見せない中、25日付ニューヨーク・ポスト紙は「ヤンキースが来月3、4日に米フロリダ州タンパでオーナーのスタインブレナー家を交えた会議を行い、その結果を受けてキャッシュマンGMが松井、デーモン、ペティットの残留交渉に着手する」と報じた。昨オフの大補強の影響もあって来季の総年俸を抑えなければならず、減俸しても松井とデーモンの両方を残留させるのは厳しいと指摘。ともに1年契約で年俸700万ドル(約6億3000万円)前後のオファーになると予想され、同紙は「それではデーモンは納得しないだろう」とも伝えている。

 12月7日(同8日)には編成関係者、代理人が一堂に会するウインター・ミーティングが開催される。キャッシュマンGMは6日に会場のインディアナポリス入りし、自チームからFAとなった選手との残留交渉を本格的にスタートさせる方針だ。撤退もしくは静観の構えを見せる球団が増えているだけに、松井にとってはヤ軍との残留交渉が大きなポイントとなりそうだ。