【ニューヨーク3日(日本時間4日)=大塚仁】ヤンキースが来季の編成や予算などを決める球団首脳会議をフロリダ州タンパでスタートさせた。来季の選手総年俸を決めるのが大きなテーマの1つ。ヤ軍からFAとなった松井秀喜外野手(35)らとの再契約問題と総予算は密接に関連するため、FA選手の条件が優先的に話し合われた。会議終了とともに松井の残留交渉が本格スタートするが、年俸上限は700万ドル(約5億9500万円)あたりに設定されたもようだ。

 ヤンキースの首脳会議には、この日40歳の誕生日を迎えた共同オーナーのハル・スタインブレナー氏、ブライアン・キャッシュマンGM(42)、ジョー・ジラルディ監督(45)らが参加した。ハル氏の父で筆頭オーナーのジョージ氏も約2時間にわたり加わった。FA市場の目玉であるホリデー外野手、ラッキー投手についても話し合った様子だが、キャッシュマンGMは「我々はまだどの選手とも交渉していない。チーム内の話し合いで外部への電話はしていない」と、松井にデーモン、ペティットの自チームのFA選手との交渉から着手する方針をあらためて強調した。

 経済不況を反映し、ヤ軍も総年俸を抑える必要に迫られている。今季総年俸の2億145万ドル(約171億2000万円)から2億ドル(約170億円)以内への縮小が一応の目安。松井らとの残留交渉にもシビアな予算の影響は避けられず、松井、デーモンへの提示は今季の約半額となる700万ドル(約5億9500万円)が上限として設定されたようだ。

 他球団が着々と補強を進める中で、ヤ軍は慎重な姿勢だ。ライバルのレッドソックスは懸案の遊撃手にスクタロを迎え、今季の課題だった野手陣を順調に強化。一方でヤ軍は、それほど積極的な補強を進めておらず、資金がかさむFA市場への参入を控え、現有戦力の残留に力を入れる戦略が浮かび上がってくる。

 ただ、残留交渉は予断を許さない状況だ。デーモンは年俸1000万ドル(約8億5000万円)前後で3、4年の複数年契約を狙っていると報じられ、ヤ軍とは大きな開きがみられる。同程度の条件提示が濃厚な松井サイドも、厳しい予算制限の中で、折り合えるかは未知数だ。早ければ5日(日本時間6日)にも提示される条件に、松井サイドがどう反応するか注目される。