元阪神の辻本賢人投手(22)が7日、メッツとマイナー契約を結ぶことが分かった。09年に阪神を自由契約になり、昨季は米独立リーグのマウイでプレー。32試合に登板し3勝2敗2セーブ、防御率2・88、34回1/3を投げて48奪三振という好成績がメ軍関係者の目に留まった。腕の位置をサイド気味に下げたことで、内角球の威力が増し、最速も94マイル(約151キロ)までアップ。この日、メ軍から正式オファーが届いた。

 メ軍のマイナー組織を束ねるアダム・ワーゲン統括部長から「契約したい」と辻本に連絡が入ったのは、ハワイにある自宅から空港に向かう5分前。ヤンキース、カージナルス、タイガースなどのトライアウトを受けるため、フロリダに向かう予定日だった。絶妙なタイミングで届いた吉報に、「めちゃくちゃうれしいです。何と言っていいかわかりません」と言葉を詰まらせた。

 シーズン後はアリゾナとハワイでトレーニングを重ね、メジャーのトライアウトを受け続けた。好評価をもらった球団もあったが契約には至らず、それでも「アメリカの地で野球をする」という強い信念で、投球DVDとプロフィルを自作して入団熱意を訴えた。

 今後はメ軍との契約に臨み、マイナーのキャンプ始動まではアリゾナで練習を続ける。「チャンスを与えてくれたメッツに恩返しできるよう頑張りたい」。メジャーへの道は遠く険しくても、その入り口に立った辻本は期待に胸をふくらませていた。