<レンジャーズ6-2アストロズ>◇15日(日本時間16日)◇レンジャーズボールパーク

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が、6月初勝利でハーラートップに並ぶ8勝目を挙げた。テキサス対決となったアストロズ戦で初の交流戦マウンドに立ち、メジャー移籍後最多タイとなる11三振を奪って8回を2失点。6回からの終盤3イニングだけで8三振の山を築いた。前回登板は6回途中6失点とワーストKO負けだったが、メジャー移籍後は最長間隔となる中7日を空けた「リフレッシュ休暇」に結果で応えた。

 休養十分、余力も残したダルビッシュが遠慮なく飛ばした。チームが逆転に成功した直後の6回、先頭打者にバント安打で揺さぶられてギアを変えた。「最初は慎重に投げていたが、最後の方は思い切って投げていけた」とアクセル全開。続く3番からの中軸3人を勝負球すべて変化球で、3連続空振り三振に封じて奪三振モードに突入した。

 圧巻は8回だった。100球を超えても球威は衰えず、再び上位打線を封じ込めにかかった。今度は捕手トレアルバのサインに首を振り、勝負球には速球を選択。2番シェーファーは外角高め93マイル(約150キロ)のボール球を振らせ、3番ローリーは内角95マイル(約153キロ)で腰を引かせて3球三振。4番J・マルティネスはフルカウントからの7球目、外角低めいっぱい95マイルに反応させなかった。終盤3回の45球で8三振を奪い、最後はガッツポーズが飛び出した。

 正念場の一戦だった。7日アスレチックス戦で6失点、7四死球といずれも自己ワーストで連敗を喫した。疲労を感じ取った首脳陣が登板間隔に配慮し、メジャー移籍後最長の7日間を空けて心身ともリフレッシュに努めさせた。「悪い時は、早く投げたい」と漏らしていたダルビッシュだが、2度のブルペン調整を挟みながら、体調回復を優先させた。制球難を解消するため、マダックス投手コーチとは対話を重ねた。

 この日は「全体的にストライクが多く取れた。点を取るまで我慢して投げた」と、5回までは走者をためないように注意。要所は「一番欲しいところで取れたので、気分良くいけた」と2併殺を奪うなど最少失点でしのぎ、5回の逆転劇につなげた。2点打のマーフィーも「ユウが試合をつくってくれたおかげ。そのうち逆転できると思っていた」と、ダルビッシュの好投に報いた。

 ライバル対決にも完勝した。「ローンスター(1つ星=テキサスの州旗)・シリーズ」と呼ばれる交流戦の人気カードに初登板し、来季からリーグ編成で同地区に移籍するアストロズに力の差をみせつけた。打高投低とされる本拠地で負けなしのデビュー6戦6勝は、レ軍新人初の快挙になった。チームは上原ら投手陣の相次ぐ故障に加えて、この日は主砲ハミルトンが体調不良で入院。「この後もこういう投球ができればいい」と充電を完了したダルビッシュが、チームの苦境を救う。