カブス今永昇太投手(30)が、メジャー史に残る快投だ。1日(日本時間2日)、敵地ニューヨークでメッツ戦に先発し、渡米後最長の7回を3安打7三振で無失点。日米を通じて初の中4日で、大リーグデビューから無傷の5勝目を挙げた。

これで、勝利数は両リーグ最多タイに。防御率は両リーグ唯一の0点台となる0・78を記録し、デビューから6先発では史上4位の好発進を切った。

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日米通じて初の中4日にも、今永は疲れを感じさせないハッスルプレーを繰り出した。渡米後、初めて迎えた7回。先頭アロンソの当たり損ねのゴロが、一塁前に転がった。怪力で裂けたボールを倒れ込みながら両手で捕ると、一塁手ブッシュへダイビングトス。「あれはファインプレーに見せただけ。本当に普通のプレーです」と笑い飛ばした。

得意の直球は、今季平均を1・8キロほど下回る平均148・5キロと本調子ではなかった。「真っすぐの球速はそこまで出てなかったですけど、うまく相手の狙いを外せた」。球速が出ないならばと、両リーグ最少与四球の制球力を生かした。「弱い球が相手のストロングポイントにいかないように。相手の術中にはまってしまうので。何球か助かったボールもありましたけど、結果的にゼロで抑えられた」と分析した。

「投げる哲学者」の異名を持つ頭脳派だ。19年本塁打王のアロンソから2三振。「低めを打つのが、ものすごくうまい選手。フェアゾーンに打たせないように、チェンジアップをなるべくストライクゾーンに残さないよう投げられた」。決め球は、いずれも低め。あえて打者の得意ゾーンから落とすことで、空振りを誘った。

「スパイダーマンで見た景色だと思った」という大都会ニューヨークでの初登板で、全米にユニークな発言と実力をとどろかせた。防御率は両リーグで唯一の0点台、0・78となった。先発して1、2イニングで降板するオープナーを除いて、デビューから6先発では、防御率が公式記録となった1913年以降、歴代4位という好数値。日本人投手でデビュー5連勝は、石井、田中の6連勝に次ぐ3人目と、歴史的快投を続けている。「紙一重の勝負を、ずっと自分のものにできるようにやっていきたい」。中4日で最高の成績を残しても、謙虚に先を見据えた。

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