【タンパ(米フロリダ州)2月28日(日本時間3月1日)=四竈衛】ヤンキース田中将大投手(25)が、いよいよ実戦モードに突入する。1日(同2日)にフィリーズ戦とのオープン戦で初登板を予定。キャンプイン後、計5回のブルペン、2回のフリー打撃登板では、延べ221球と米国流に球数を抑える調整に徹した。キャンプ期間中の投球数としては、日本時代から大きく減った。実戦段階に入る今後は、中4~5日の登板間隔に慣れるため、次なるステップに挑む。

 米国での実戦デビューを翌日に控えても、田中は平常心を強調した。登板予定は先発サバシア、黒田に続く3番手で35球がメド。日米両国から熱視線を集めていても、田中にすればあくまでも試運転の範囲内で、表情も口調も淡々としていた。「今から緊張してもしょうがないですしね。明日だなとは思いますが、全然普通です」。

 7年1億5500万ドル(約155億円)の超大型契約で入団したこともあり、注目度は極めて高い。その一方で、初めて経験する米国流調整を受け入れながら、仕上げていくことになる。メジャーのキャンプは始動が遅く、単純な比較はできないが、ここまで本格的な投球数は250球にも満たない。公式戦なら2先発程度。それでも、田中は目の前だけを見ていない。「チームから与えられた練習をやっているだけなので、その中でしっかりと考えながらやっています。結果も気にされると思いますけど、自分の中ではそれは重きを置いてません」。数字や結果を求められる立場を認識したうえで、開幕までに課題を探す姿勢も崩していない。

 登板前日には、エースの左腕サバシアとキャッチボールを行い、登板前の調整を終えた。途中、興味津々のサバシアから変化球を要求され、最後はスライダーやカーブなどの握りを「白状」させられた。「教えてというより、どうやって握っているんだみたいな感じだったので」。

 周囲の騒ぎをよそに、田中自身に、不要な気負いはない。オープン戦初登板は、あくまでもステップ。メジャーで生き抜くうえで、今後もクリアすべき関門を乗り越えていく。