<レッドソックス5-9ヤンキース>◇28日(日本時間29日)◇フェンウェイパーク

 大リーグの公式戦全日程が終了した。ヤンキースのイチロー外野手(40)は、今季最終戦のレッドソックス戦に「1番右翼」で出場し、3打数1安打2打点と活躍。メジャー14年目は出場機会が不規則ながら、102安打、打率2割8分4厘と健在ぶりを発揮。今オフはFA(フリーエージェント)になるものの、来季もメジャーで現役を続行することになりそうだ。

 イチローが会心の当たりでシーズンを締めた。3回表1死二、三塁、カーブを捉えて右中間を破る三塁打とした。直後にジーターの三塁内野安打で生還し「やっぱり明るく送り出したかった。しんみりするのは好きじゃないと思うしね」と敬愛するキャプテンへのはなむけとなる一打でもあった。

 数々の記録を残してきた大打者が、今季は控えからスタートした。キャンプ中からトレードがささやかれ、先発出場は95試合。代打、代走、守備固めと起用法や出場機会が一定しない中でも、準備を怠ることは一切なかった。毎日、約90メートルの遠投を続け、必要とあれはダッシュ量を増やした。幾つもの壁を乗り越えたメジャー14年目を「いつか自分の支えになっていく経験はあると思いますが(今年のは)その中に加わるものだった」と振り返った。

 そんなイチローが、メジャーで現役を続行する。球界関係者の多くも「まだやれる」と見ている。規定打席に届かなかったものの、過去3年間を上回る打率2割8分4厘。「プラスに考えられることはいっぱいあります。マイナスが思い浮かばないくらい。今日から162試合やれと言われても、僕にはできる。それは去年も感じたけれど。何の問題もない状態にある」と迷いはない。実際、ヤンキースタジアムのロッカー室整理後、数日内にはニューヨークで自主トレを開始。来季への再スタートを切る予定だ。

 ヤ軍との契約は今季までで、今オフにはFAとなる。ヤ軍に残留するのか、他球団へ移籍するのか、現時点では定かではない。メジャー通算3000安打まであと156本。間もなく41歳を迎えるが、イチローの内面に不安はない。「去年のシーズンは最後は半信半疑で何とかいい形になっていたかなと思っていたけど、今年は最後まできっちりと自信を持ってグラウンドに立てる自分がずっといたのでね」。ジーターの引退を見届けても、イチローの心に、その「2文字」はまったく浮かんでいない。【四竈衛、水次祥子】