開幕から誕生日まで!

 マー君の長~い1年の始まりだ。ヤンキース田中将大投手(26)が10日、ニューヨークへ向けて出発した。昨夏に部分断裂した右肘靱帯(じんたい)の状態は良好で、メジャー2年目は開幕投手の期待がかかる。さらにワールドシリーズ進出なら、11月1日の誕生日を初めて海外で祝う可能性が高く、21日(日本時間22日)からの春季キャンプ(フロリダ州タンパ)を前にあらためてフル回転を誓った。

 2年目の余裕がにじみ出た。渡米前に成田空港で記者会見を行った田中は「去年と違って慣れている部分もある。生活のリズムが頭の中にあるので、去年の自分と比べれば大きなアドバンテージがあると思います」とリラックスした様子を見せた。昨夏痛めた右肘の状態も問題なく、自主トレ期間中に捕手を座らせて20球程度の投球練習を行った。「順調に上がってきている」と、21日のキャンプインへ万全な仕上がりだ。

 今季は途中離脱することなく、30先発、200投球回を目標に掲げている。ベテラン黒田が広島へ復帰し、求められるのはエースの働き。期待される開幕投手について「メジャー30球団で30人しかいない、スペシャルなもの」と言った。「今はそこまで考えてはいない」とくぎを刺したが、キャンプの内容次第で十分、射程圏内にある。

 今季は開幕が若干遅いため、シーズンが丸々1週間ほどずれ込む。「世界一短いオフにしたい」という希望がかなえば、すなわちワールドシリーズ(WS)に出場すれば、11月1日の誕生日を初めて海外で迎える可能性が高い。13年は、誕生日翌日に巨人との日本シリーズ第6戦に登板。先発完投で敗戦投手となった。「見事に負けたんで、次は勝ちたいですね。そういう日程でWSがあるっていうのは、なかなかないことだと思うんで」と27歳の勝利に思いをはせた。

 バタついた昨年よりすべてがスムーズに進んでいる。1年前の渡米日は、記録的な大雪の影響で出国が6時間半遅れた。移住のため荷物も多く、ボーイング787のチャーター機を用意。今回は身軽に、一般の航空機に乗り込んだ。16日にはニューヨークの自宅を離れ、タンパに入る。「やっぱり去年より楽です。自分のペースで、まずはしっかりとキャンプを過ごしていきたい。夕方着なんで、着いたら夜は寝られないですね」。時差ぼけが目下の悩みというのも、2年目ゆえの幸せかもしれない。【鎌田良美】

 ◆ヤンキース先発投手事情

 ローテは田中、サバシア、ピネダ、イオバリ、カプアーノの5人が予定されている。開幕投手は昨季までサバシアが務めたが、今季はエースの座を譲るとみられており、田中が故障なくキャンプを終えれば開幕投手となる可能性が高い。ただし田中は肘、サバシアは膝、ピネダは肩の故障明けで再発の懸念も残っているため、ニューヨークのメディアによると、球団はキャンプイン前から中継ぎのワレンとロジャーズに先発できる準備をしておくよう伝え、もしもの場合にも備えているという。また11年に16勝を挙げたが昨年4月に右肘手術を受けたノバは6月に復帰の見通し。