今季初安打も、あぁ3三振…。日本ハム大谷翔平投手(20)がロッテ1回戦に「5番DH」で野手として今季初出場し、5打数1安打3三振だった。4回の今季初安打は右越えの打球を放ち、一塁ベース付近で転倒するハプニング。2点を追う9回2死満塁の好機は三邪飛に倒れた。3番陽岱鋼、4番中田と合わせ計8三振と中軸が精彩を欠き、チームは逆転負けした。

 力なく浮いた白球を見届けた。すぐ敗者と悟ったが、気丈に一塁まで走った。大谷が、ヒーローになれるクライマックスで散った。2点を追う9回。ロッテ守護神西野を2四球と内野安打で、2死満塁と追い詰めた。2点差。一打同点、長打なら逆転の可能性も秘めたシーン。2球目、内角高めスライダーに詰まった。三邪飛。その直前の初球、ほぼ真ん中の直球をファウルで打ち損じた。最後の打者になる伏線だった。

 「最後の打席の初球を打ちたかった」。

 野手の今季初陣は、ほろ苦かった。ブレーキの一翼を担った。先頭打者の4回。ロッテ石川の決め球、外角高めシンカーだった。ボール気味も、強引にパワーでねじ伏せ右越えへ長打性の打球。全速力で向かったが、一塁手前で転倒した。「滑りました」のハプニングの今季初安打は単打になったが、1死後だった。レアードが先制2ラン。

 最高の展開を演出したまでは完璧だったが、3三振はすべて空振りで、3球で仕留められたのが2個。精彩を欠いた。

 中軸で計8三振を喫する拙攻。大谷に得点圏の好機は巡らなかったが、脇を固める伏兵の奮闘に応えられなかった。2試合連続の2ケタの12安打も11残塁と空転した。開幕4戦でチーム打率3割も、2勝2敗と乗り切れない。「(チャンス)すべてが、すべて点が取れる訳ではないけれど。大事なところで結果を出せないのは、我々に力がないから。アイツ(大谷)に背負わせるのは…」。栗山監督はチームを戒め、大谷をかばうほど酷な使命だった。

 今日1日も「5番DH」に配置するベスト中軸を組むことが濃厚だ。約2週間ぶりの野手での実戦、ほろ苦かったが、大谷は力強かった。「そこまで(実戦勘の)違和感は特になかった」。頼もしく大谷が、仕切り直す。【高山通史】