阪神打線の破壊力がはっきりと表れた試合だった。もはや数人をマークしただけでどうにかできるレベルではないと思えるほどだ。打撃の各部門で上位に名前が並んでいるように、クリーンアップの存在が大きい。森下が22号、佐藤が2安打、大山が4打点。他球団にとっては脅威だろう。
一方で、昨年とは大きく違う要素もある。昨年までの阪神は主力と控え選手の力の差が大きかったが、今年は戦力に厚みが出ている。4月に近本が左手首の骨折で離脱。大きな痛手だったはずだ。だが、絶対的なリードオフマンの離脱ですら、先を見据えてプラスに変えてきたとも言える。
この日、前川が2回、今月4本目の本塁打を放った。1番・高寺は4回2死から右前適時打。途中出場で安打を放った福島もいる。競わせながら、積極的に起用してきた。使いながら育てるのは非常に難しい。もちろん、近本離脱で使わざるを得ない状況になったのだが、阪神ベンチは我慢しながら使い、育て、そして戦力として使えるレベルまで引き上げている。
野手だけではない、投手にも同じことが言える。昨年は石井を中心とした強力なブルペン陣で勝利を重ねてきた。しかし、石井が離脱。そんな中、工藤、石黒、木下ら次々と新しい戦力を使い、補っている。
現状を見渡し、適性を見極めながら、若い選手に経験を積ませた。そこが今年の強さを支えているとも言える。夏場以降、疲れがたまる時期が来る。特に投手陣には顕著に出る。だからこそ、戦力アップをしてきたことが生きる。首位攻防3連戦を見る限り、打線は間違いなく上向きだ。ペナントレースを抜け出す勢いがある。若手の成長は、これからのし烈な戦いに必ずプラスになる。
(日刊スポーツ評論家)




