日本ハム中田翔内野手(26)が、「平成のON」そろい踏みとなるバースデー弾を放った。西武4回戦(西武プリンスドーム)の4回、大谷翔平投手(20)の2号先制ソロの後、2者連続となる7号ソロ本塁打で26歳の誕生日を自ら飾った。リーグトップを走る本塁打争いで、前日21日に西武中村に1本差に迫られたが、再び突き放した。今季初、通算3度目となる大谷とのアベック弾で、単独首位もがっちりキープだ。

 祝砲で、歓喜を呼び寄せた。大人になった中田が、ド派手に記念日に花を添えた。4回1死。大谷の右越え先制2号ソロに沸いた球場を、再び熱くした。初球でケリをつけた。「緩いイメージしかなかったので、振り回されていた。初めに目は付けていた」。内角高めチェンジアップを、豪快にたたき上げた。7号ソロを、ロウソクのように左翼席へ突き刺した。26歳でプロ初のバースデーアーチ。「素直にうれしい。何としても打ちたいと思っていた」と熱っぽくこぼした。

 運命的な1日を再現した。大谷との「平成のON砲」は3度目で今季初。初競演は昨季7月5日ロッテ戦(QVCマリン)で、大谷の20歳の誕生日だった。大谷は打席に立つ試合が限られている中、今度は中田の誕生日に生まれた。「すごく信頼出来る打者。前を打ってくれていることで安心感がある」と後輩の姿に刺激。大谷も「すごくうれしいですし何とか2人で点を取れて、試合の流れも良く追加点が取れてよかった」と先輩との活躍を喜んだ。

 強すぎる思いは、空回りしてきた。レギュラーに定着した11年から誕生日の出場3試合で、計11打数1安打3三振。この日もファンのバースデーソングの大合唱で迎えた第1打席は、フルカウントまで粘ったが見逃し三振に倒れた。「ハッピーバースデーを聞くと絶対、打たなアカンやろ」と毎年、期待に応えようと必死だった。

 今年の誕生日は、違った。栗山監督からは初めて「本塁打を打ってくれ」と言われ、発奮。前夜の同戦では大阪桐蔭の先輩中村に、主砲の仕事ぶりを見せつけられた。「本塁打に関しては、向こうの方がプロフェッショナル」と敬う先輩の前での1発で、勝利につなげた。「目の前で翔平に強烈な1発を見せられたので、打たなアカンというところで狙いにいった」と威厳も見せた。

 チームも3、4月の勝ち越しが決定。栗山監督は「やるべき人が結果を出すと、勝ちやすくなる典型」と浸った。「誕生日に1本塁打を5本分にしてくれたら意地でも打つけどね。チームが勝ってくれたらいいよ、今日は」。男らしさを増した中田が、新たな姿を見せていく。【田中彩友美】

 ▼日本ハム中田が、22日西武4回戦(西武プリンスドーム)でバースデー弾。誕生日の通算成績は11打数1安打で、本塁打は8年目で初めて。19歳の誕生日だった08年4月22日に、イースタン・リーグ巨人戦で130メートル弾を放っている。

 ◆ON砲 元祖は巨人の王貞治と長嶋茂雄。2人のアベック本塁打は59年6月25日の天覧試合(対阪神)から始まり、74年まで通算106回のプロ野球最多を誇る。