富士大のドラフト候補右腕多和田真三郎(4年=中部商)が、13奪三振1安打完封で、開幕戦を制した。直球に頼らず、変化球でストライクを取る「ニュースタイル」で、10球団14人のスカウトをうならせた。

 援護は初回の1点のみ。そんな厳しい状況でも、多和田は「まわりが見えて余裕があった」。初回から3回まで3者凡退。4回裏には、この日唯一の安打と四球、悪送球で2死二、三塁のピンチを招くも三振で切り抜けた。多和田は「初戦にしてはいい出来」と満足げ。豊田圭史監督(31)も「試合をつくれるようになったのが去年との違い」と、エースの一皮むけた姿を喜んだ。

 1年春から投げ続ける多和田の武器は下からはい上がってくるような直球。だが、あえてそれに頼らずスライダー、カーブなど変化球を多用した。昨秋神宮大会初戦の創価大戦では、力を込めた直球で押しまくり4回途中7失点降板。以来、この冬はバッテリーを組む小林遼(2年)とともに変化球を磨いてきた。「変化球でストライクが取れた。創価の負けが(今日の結果に)つながっている」。失敗を糧に、新たな投球パターンを身につけた。

 ネット裏のスカウト陣も堂々としたマウンドさばきを絶賛した。西武前田編成部長は「投球にメリハリがある。今年のドラフトのトップクラス」。巨人山下スカウト部長も「まだまだ伸びる。指折り数える中の1人」と高い評価を示した。1安打13三振完封の好投で、多和田のドラフトイヤーが始まった。【高場泉穂】