青森大の171センチ左腕相内康佑(3年=東陵)が、岩手大を8回2安打無失点に抑え、自身リーグ4勝目を挙げた。

 「ゼロが良かったです」。寮の部屋も常に整理整頓する「きれい好き」の相内は、0が並ぶスコアボードの最後に刻まれた安打数「2」を残念がった。左足を深く沈みこむ独特のフォーム。キレのある130キロ台中盤の直球に、カーブ、スライダー、スプリットを織り交ぜ、丁寧に打ち取っていく。4回に1四球を与えたのみで、6回までは無安打。7回に2死一、三塁のピンチも乗り切り、3季ぶりの完封勝利を手にした。

 1年の春秋にそれぞれ1勝。だが、2年になるとフォームが乱れ「いつも迷いながら投げていた」。スランプを抜け出すため、昨冬はシャドーで一からフォームを見直し、下半身の筋力トレーニングに取り組んだ。春の宮古島キャンプでも誰より走り込み、開幕投手の座をつかんだ。これで春2戦2勝。鳥谷部勉監督(46)は「体は小さいけど、よくやってくれた。エースの自覚がでてきました」とたたえた。

 試合前にはイヤホンで周囲の音を遮り、精神を集中するなど強いこだわりがある。「人に流されないように。見ている人がいいな、と思ってくれるようなピッチングをして、何勝でも多く勝ちたい」。もう、迷いはなくなった。【高場泉穂】

 ◆相内康佑(あいない・こうすけ)1995年(平7)3月22日、宮城県多賀城市生まれ。多賀城東小4年で野球を始める。東豊中までは主に外野手。東陵で投手に転向。2年秋、3年春にはエースとして東北大会出場をけん引。3年夏は8強。171センチ、64キロ。左投げ左打ち。家族は両親、妹2人。血液型A。