仙台大の左腕影浦雅人(4年=旭川実)が延長12回、1失点の完投勝利を飾った。宮城教育大打線を9回1死までノーヒットノーランに抑える快投。タイブレーク(1死満塁から攻撃)突入後の12回に1点を許したが、直後の攻撃で打線が2点を奪い、2-1と逆転サヨナラ勝ち。仙台大は2連勝で勝ち点3とした。

 4年生のプライドと危機感を、影浦は支えにしていた。ドラフト上位候補の熊原健人(4年=柴田)が登板しない試合を、馬場皐輔(仙台育英)と岩佐政也(柴田)の2年生2人に先発の座を奪われていた。「負けられない。結果を残したかった」。

 巡ってきた今季初先発。左スリークオーターから、右打者の外角に曲がりながら落ちるスクリューボールがさえた。9回1死まで1四球を与えただけのノーヒットノーラン。タイブレークに突入した延長10、11回は打者計4人から3三振を奪った。12回に均衡を破られたが、最後に打線が好投に報いてくれた。「勝って良かったです」。昨秋以来のリーグ2勝目に実感がこもった。

 4月19日の東北大2回戦に救援登板し、7回に決勝ソロ本塁打を浴びた。2ストライクと追い込んで速球の制球が甘くなった。その1球を反省し「コントロールを磨いた。リベンジの気持ち? かなりありました」と明かした。「追い込んでから三振が取れないのが4年間の課題」と話すが、この日は13奪三振。9回まで先頭打者を出塁させなかったことが、121球、被安打2の完投につながった。

 森本吉謙監督(40)は「期するものがあったのでしょう。影浦さまさまです」と褒めちぎった。エース熊原に次ぐ2番手候補は能力を秘めてはいるが、まだ安定感に欠ける。影浦の好投は次節からの東北福祉大、東北学院大との上位対決へ好材料になる。「あとの試合に生かしていきたい。任されたところをしっかり投げたい」。自信を取り戻した最上級生左腕は、目を見開いて言った。【久野朗】

 ◆影浦雅人(かげうら・まさと)1993年(平5)7月13日、北海道生まれ。豊富小3年の時、豊富町野球少年団で野球を始め投手一筋。豊富中では軟式野球部に所属し、2、3年で全道大会出場。旭川実では2年秋からベンチ入り。3年夏の甲子園は登録選手から漏れてボールボーイ。仙台大で1年春からベンチ入り。176センチ、85キロ。左投げ左打ち。家族は両親と兄、妹。血液型O。