中日又吉克樹投手(24)はベンチの隅に腰を下ろし、虚空を見つめた。1-0の8回に登板し、4安打で2失点。小熊の先発初白星も消した。試合後、ついに2軍行きの断が下された。

 7回無失点でまだ87球だった小熊からの継投策は、攻撃面との兼ね合いに加え、リベンジの思いもあった。6日の阪神戦は福谷、又吉で逆転サヨナラ負けを喫していた。谷繁元信兼任監督(44)は会見で「勝ちにいった。常に、抑えて帰ってきてくれると思って出している」と説明したが、その後に登録抹消を決めた。友利投手コーチは厳しかった。「技術がない。(再び)上がる前提で落とすわけではない。おととしの今、何をしていたか思い出してもらいたい」と無期限の再調整を命じた。

 2年前、独立リーグ四国IL香川で台頭し、昨年は新人で67試合と大活躍。侍ジャパンにも選ばれ、2年目はセットアッパーで開幕したが、背信の連続だ。首脳陣は不可欠な存在と位置づけ、長いシーズンを見据えて、抑えの福谷とともに、打たれても1軍で再生を図ってきた。開幕41試合目で現実とのバランスを取る決断をした。

 代役は、状態のいい投手をそのつど選んでいく。最大の強みのはずだったブルペン構想が崩れ、先の見えない課題が生まれた。3度目の3連敗で4位に転落。ただの1敗と思いたくとも、大きな転換点になる可能性をはらんでいる。【柏原誠】