オリックスの自力優勝の可能性が早くも消滅した。広島に逆転負け。ソフトバンクがヤクルトに勝ったため、開幕から54試合目にして悲劇の節目を迎えた。7回2安打1失点、13奪三振と力投した先発西を援護できず、借金は今季ワーストの15に。19年ぶりの日本一を目指し、オフに大補強を敢行したオリックスが沈み込んだままだ。

 開幕から54試合目で、この日が来た。オリックスの自力Vの可能性が消滅した。「いろんなことがこれから起こるだろうが、すべて発奮材料に変えていく。反発する力はまだ持っている。それをもっと前面に出していかないと」。森脇浩司監督(54)の言葉にも、悲壮感がにじんだ。

 誰の努力も報われなかった。「いい流れを作りたい」。その一心で、先発の西は腕を振った。前日は3安打2得点と、広島のキーマンになった田中を3打席連続空振り三振。2回無死一塁はシアーホルツ、エルドレッド、松山を3者連続空振り三振。6回までに12三振を奪った。4回にはT-岡田の援護弾も出た。

 だが7回、丸への初の四球がほころびになった。2死一塁で中前に伸びたシアーホルツの打球に、中堅駿太が前進しながら最後はちゅうちょ。大きく弾んだ打球は駿太の頭上を越え、同点の三塁打になった。7回で降板した西の後を受けた佐藤達が、8回に松山に決勝弾を浴びた。

 駿太は「(ノーバウンドでの捕球に)行かなかったことの方が、頭上を抜かれたことより悔いが残ります」。西を守ろうと必死だった。その気持ちがわかるからこそ、西も「こういう日もあります。また次、頑張ります。でも連敗を止めたかった。それが悔しい」と敗戦を悔やんだ。

 オフの大型補強の目玉だったブランコ、中島、小谷野らは故障で離脱。主将の糸井が2割2分8厘、25打点、5本塁打と低迷。2日からの巨人戦(東京ドーム)は出場する見込みだが、首脳陣は「体調不良や、やらなければという重圧が重なり苦しんでいる」と懸念する。2カ月で打撃、バッテリーと2人もコーチが交代する異常事態。はまりこんだ落とし穴から抜けられない。【堀まどか】

 ▼オリックスは今季の自力優勝の可能性が消滅した。オリックスは残り89試合全勝でも最終成績は108勝34敗1分けで勝率7割6分1厘。ソフトバンクがオリックスとの残り13試合に全敗しても他球団との79試合に全勝すれば107勝33敗3分けで7割6分4厘となりオリックスを上回るため。森脇監督が就任した13年は93試合目の8月4日に消滅。14年は自力Vの可能性を残し迎えた10月2日ソフトバンク戦に敗れ優勝を逃した。