阪神が6連勝で2位巨人に2ゲーム差をつけた。先発藤浪晋太郎(21)が7回2失点で5連勝となる6勝目。8奪三振と強打のDeNA打線をねじ伏せ今季103奪三振と両リーグトップの大台突破だ。4回に福留孝介(38)、マウロ・ゴメス(30)の3、4番コンビが2日連続となる2者連発で主導権。甲子園9連勝と本拠地の利で混戦セ・リーグを抜け出す。

 勝負の分かれ目。ここ一番で100%を出しきれる。それが大黒柱だ。藤浪の153キロが内角にズバッ! 1点を勝ち越した直後の6回2死二塁、代打下園を3球三振に斬った。移り気な流れを完全に猛虎へ引き寄せた瞬間、これでもかと右拳に力を込めた。

 「良かったボールはあの1球ぐらいでしたね。ああいうボールを増やしていかないといけない」

 7回を6安打5四死球2失点。チームを6連勝、甲子園9連勝に導き、自身の連勝も最長の5に伸ばした。先発試合ではチーム7連勝。チーム最多の6勝目を手にしたにもかかわらず、反省を繰り返した。ここ4試合は最長7イニングどまり。救援陣の負担を考えれば、納得できなかった。

 「7回を3人で終わっていれば完投できたと思う。余計なボール、四球で走者をためてしまった」

 気遣いに妥協しない姿はプライベートでも変わらない。1月上旬、藤浪は大阪桐蔭時代の仲間と2人、早朝からコンビニ店を“はしご”していた。迷わずお菓子コーナーに向かうと、ありったけのベビースターラーメンを買いあさった。

 「5軒ぐらい回って、96袋までいきました。多ければ、ちょっとおもしろいかなと思って…」

 新年のあいさつで大阪桐蔭グラウンドに出向く日の朝だった。ベビースターラーメンは西谷監督の大好物。母校を訪ねる度にお土産として持参してきた。初めは数袋、次は箱買い、そして96袋…。もっと喜んでほしい、もっと笑ってもらいたい-。そんな男だ。いざマウンドに立てば、救援陣のためにも1イニングでも多く投げ続けたい。

 両リーグ最速で100奪三振を突破し、26日に52歳の誕生日を迎えた父晋さんに白星をプレゼント。粘投で2位巨人に2ゲーム差をつけた。「このまま油断することなく、1試合1試合頑張っていきたいと思います」。もちろん、まだ満足しない。V奪回の瞬間まで妥協しない。【佐井陽介】