失敗を繰り返さない。だから呉昇桓は守護神と呼ばれる。2点リードの9回。代打後藤に2戦連発される思い切りデジャブ(既視感)な状況で、なんとか1点差を逃げ切った。2勝2敗で22セーブ。ニッと笑ってリベンジした。

 悪夢の残像をなんとか消し去った。阪神守護神の呉昇桓投手(32)は薄氷の22セーブ目だ。24時間、いや正確にはほんの20時間ほど前。2点リードを守れず、逆転サヨナラを喫したマウンドに再び立った。

 驚くほど、状況は似ている。降雨にマウンドがぬかるむ、横浜スタジアム。9回表に1点を追加し、リードは2点に広がっていた。

 1死から、前日代打2ランを許した代打後藤が打席に向かった。1ボールからの2球目。外角に投じた148キロを右翼ポール際ギリギリに運ばれた。2日連続の被弾でも、この日はソロで、まだリードがあった。前日サヨナラ打を浴びた石川は中飛に退けた。2番関根を一ゴロに打ち取って、リーグトップのセーブ数を更新。猛虎を首位再浮上に導いた。

 「切り替えていこうと思った。1度打たれたからといって終わるわけじゃない。まだ先があるんだからね。2回続けて打たれるのは良くないし、気をつけていこうと思っていた」

 前夜、食らった大逆転劇は、今季2敗目だった。1敗目はセ・パ交流戦の期間中。6月2日、甲子園のロッテ戦だった。3点リードの9回、角中に逆転満塁弾を浴びるショッキングな敗戦。だがその翌日3日のロッテ戦にも登板し、2イニング無失点で勝利投手。4日の同戦でも1奪三振の3者凡退できっちりセーブを挙げている。やられたら、やり返す。昨季、来日1年目でセーブ王に輝いた守護神の真骨頂だった。

 「勝てたんで良かった」。石仏らしくクールに、再スタートを切った。