マートン戻れず、勝率5割に戻って、首位からズルリ。もどかしい七夕の夜、2回無死二、三塁など序盤の好機を生かせない拙攻が響き、最下位中日に屈した。6連勝中だった岡山・倉敷で、厳しいきび団子の完封負け。また首位は3日天下になったけど、今日からは9連勝中の本拠地甲子園。もうどうにも止まらない攻撃をみせてくれ!

 七夕に勝利を願った倉敷の虎党がため息をついた。勝てそうで勝てなかった試合。指揮官の言葉がすべてを物語っていた。

 和田監督 今日は負けるべくしてというところがあるな。あそこで主導権を握れなかったというのが。流れをもってこれなかったね。最後まで…。

 敗因に挙げられたのは2回無死二、三塁の場面だ。この絶好機に今成はタイミングを外された三塁へのゴロに倒れる。ところが飛び出しかけた三塁走者マット・マートン外野手(33)は戻ることもできず、捕球と同時に三塁手堂上にタッチされてしまった。マートンの迷ったような動きに和田豊監督(52)は「ストップだから、あそこは戻らないといけない」と指摘。さらに一塁転送で2アウト。チャンスは一気にしぼみ、無得点に終わった。

 続く3回にも先頭上本がヒットで出るが、2番大和が送れず。1死一塁からは好調福留が併殺に倒れ、またも拙攻となった。ここまでプロ1勝の中日の20歳若松を助けてしまった。

 マートンは試合後、走塁について「タッチされた、それだけです。それしか説明のしようがない」と言葉は少なかった。代わりに高代三塁コーチが、判断の難しさを説明した。

 高代コーチ 難しいプレーだった。指示はストップだったけど、自分の方向にボールがきていたから、判断が難しい。

 2回には3安打が出たが攻めきれず。4回までに6安打を放ちながら、先取点を奪えなかった。速球とチェンジアップで緩急をつける若松の投球に、得点力を上げていた打線が沈黙。対照的に相手は7回に際どい犠飛で先制すると、8回には左翼マートンの守備力につけ込んだ走塁などで追加点を奪い、ソツなく得点していった。

 主催ゲームでは6月3日から負け知らずだったが、後味の悪い敗戦となった。倉敷での連勝も6で止まった。ただ、今日からは9連勝中の本拠地甲子園で戦うことができる。

 和田監督 地に足をつけて、明日の甲子園から出直すというかね。それしかないね。

 巨人が勝ったため、同率ながら首位を明け渡す形になった。今のセ・リーグで順位を論じることに意味はない。指揮官は負けるべくして負けたという、この敗戦を繰り返さないよう「地に足をつける」という表現で、気持ちを引き締めていた。【鈴木忠平】

 ▼阪神は4日に立った首位の座を明け渡した。38勝38敗1分けの勝率5割。この日勝った巨人も同率だが、勝ち数が39で上回り、6月23日以来の首位。阪神は今日勝てば巨人の勝敗にかかわらず勝率で上回り首位。

 ▼阪神は倉敷で09年4月28日横浜戦からの連勝が6でストップ。通算では28勝15敗1分け。

 ▼阪神は6月3日ロッテ戦から本拠地甲子園では9連勝中だが、主催ゲームとしては6月2日ロッテ戦(甲子園)以来、10試合、1カ月ぶりの黒星を喫した。今季、京セラドーム大阪開催3試合を含めたホームゲームは24勝13敗。