札幌ドームに悪夢の光景が広がった。日本ハムが北海道移転後ワーストの19失点で、楽天に惨敗した。先発浦野博司投手(26)が2被弾を含む5安打9失点の大炎上で2回を持たず降板。2番手ミッチ・ライブリー投手(29)も8安打8失点で負の連鎖を止められなかった。3回までに大量17点を失い、試合をぶちこわした。19失点は03年近鉄戦以来12年ぶり。今季3度目の4連敗で、首位ソフトバンクとのゲーム差が今季最大の6に広がった。

 惨劇だった。わずか56分。歓声は、怒号に変わっていた。2回の守備を終えた時点で12失点。投手を中心に守備力で戦う日本ハムのスタイルは、序盤で早々に崩壊した。栗山英樹監督(54)は「言葉を整理するのに、相当時間がかかる」とショックを隠しきれないが、受け止め、「申し訳ない」と繰り返した。北海道移転後ワースト、球団史上5番目に多い19失点の大敗。観衆「2万566人」が発表された9回の守備中、すでにその多くが、記録的大敗の結末に背を向け、退場ゲートに列をなしていた。

 あまりにも酷な誕生日になった。浦野は1回に無死満塁のピンチを背負うと、サンチェスの先制打などで2点を失い、さらに伊志嶺に3ランを被弾した。2番手・ライブリーも3回、この日2度目の無死満塁のピンチをつくり、松井稼に適時打、嶋には押し出し四球を与えた。「ピッチャー替われ!」、「マジメにやれ~!」。札幌ドームでは珍しいほどに、殺気だった声がスタンドに響いた。

 後半戦の“開幕ダッシュ”で攻めたてるはずだった。下位に沈む楽天に、まさか…。本拠地で痛恨の同一カード3連敗。誤算は、首位ソフトバンクとのゲーム差に跳ね返る。今季最大の「6」。背中が、また少し遠くなった。

 屈辱は、グラウンドで晴らすしかない。大敗も惜敗も、1敗は1敗。栗山監督は「これ以上ない(負け方)。でも人間って、これだけたたきのめされると、もしかしたらいいのかもしれない。そう思うしかない。選手も嫌な思い、悔しい思いをしていると思う」。仕切り直しの明日24日西武戦(西武プリンスドーム)は、大谷がマウンドに上がる。こんなときだからこそ、エースならやってくれる。【本間翼】