勝ったことだけが唯一の収穫だった。最下位中日に1点差で辛くも勝利。11安打を放ったが12安打も浴びた。2点差でバトンを受けたDeNA守護神の山崎康晃投手(22)も先頭遠藤を四球で歩かせ、荒木の適時打で1点差に迫られた。中畑清監督(61)は「勝ったのか? その意識は薄い。反省、課題が多く残ったゲームだった」と称賛よりも苦言を強調した。

 ピンチの連続だった。2回、3回以外はいずれも得点圏に走者を許した。中日戦は14年8月から負けなしの5連勝としたエース久保も、今季8勝目以外の上積みはなかった。久保は「野手が点を取ってくれたから勝てただけ。1回のところも投げミスだし、修正する部分は多い」と渋顔。復調を期待してマウンドに送り込んだ中畑監督も「全然不満。本来の力の半分も出せていない」と突き放した。

 それでも勝たなければ何も始まらない。筒香に17打席ぶりの安打と8月初打点、梶谷が3安打猛打賞などで相手を上回ったことだけは、まぎれもない事実。中畑監督は「勝ちたいという気持ちは相手よりも勝っていた。雰囲気を変えていくためには勝ち続けるしかない」と引き締まった表情のまま言った。【為田聡史】