デスパさまさまだ。主砲の一振りが、首位ソフトバンクの連勝を止めた。ロッテのアルフレド・デスパイネ外野手(29)が3-5の8回、バックスクリーンへ放り込む逆転の14号3ランを放った。これで、本塁打を打った試合は昨年9月23日から15試合連続勝利だ。チームに3連勝をもたらし、貯金は今季最多タイとなる4月14日以来の貯金2。主砲に当たりが戻ったロッテが上昇気流に乗った。

 太い両腕を目いっぱい伸ばした。2点を追う8回無死二、三塁。デスパイネはソフトバンク五十嵐の外角スライダーをフルスイングした。打球は大きな弧を描き、バックスクリーンへ。ダイヤモンドを1周すると興奮を隠せない。「日本に来て一番うれしいホームランだよ!」。自然とハイタッチにも熱がこもった。

 前日まで16打席連続無安打。特に、4日のオリックス戦は3三振だった。翌日の練習中、仲のいいクルーズに「人生で、こんなに三振をしたことがない」とボヤいたほどだ。無理に引っ張る打撃が目立っていた。「引っ張ろうとしてたわけじゃないけど、知らないうちに力が入っていた」。疲れもあった。キューバ代表として国際大会に出たため、7月に日本とカナダを往復。前日ナイターは4時間半超の長丁場で、記録的猛暑にも少々、参っていた。リフレッシュすべく、この日は打撃練習を休んだ。

 不振脱出のきっかけは、伊東監督がくれた。「中堅から右翼へ、軽く打つつもりで」と言われた。第1打席は引っ張って左前適時打としたが、4回は中越え二塁打。そして、8回の逆転3ラン。「アドバイスが役に立ったよ」と感謝した。試合前「バットの芯に穴が開いている」と冗談を飛ばした伊東監督も、「やっと目覚めてくれたね。最初から集中力があった。力みがなかったね」と喜んだ。

 本塁打を打てば勝つ。不敗神話は15試合に伸びた。「このまま、プレーオフを目指したい」。主砲の言葉は、現実味にあふれていた。【古川真弥】

 ▼デスパイネが14号逆転3ラン。今季、本塁打を打った試合はこれで13戦全勝(1試合2本が1度あり)。昨季からは通算15連勝となった。ロッテの打者がシーズン1号から本塁打の13連勝は、09年西岡(13連勝)以来。相手の五十嵐は大リーグから帰国後、被本塁打が13年4月7日に中田(日本ハム)に浴びた1本だけで、中田の後は打者557人に1発を許していなかった。