ソフトバンク工藤公康監督(52)が自らの判断ミスを悔やんだ。ソフトバンクは無傷の7連勝中だった寺原隼人投手(31)が4点リードを守れず西武に逆転負け。寺原は6回1死満塁でメヒアに同点打を浴びて交代となったが、その直前のシーンだ。

 工藤監督 あそこはちゃんと代えてあげないといけない場面。僕のミス。

 1点差に迫られ、なおも1死一、二塁で、左打者の森を迎えた場面のこと。ベンチから佐藤投手コーチがマウンドに向かった。「今日は左に投げづらそう」と感じていた工藤監督は、ここで左腕の森福へのスイッチを決断。ベンチから交代を伝えようと、手首をひねるジェスチャーを何度もし、「佐藤さ~ん」と声もかけたが、大歓声で届かず。佐藤コーチがベンチに戻るため一塁側のラインをまたいでしまい、交代が不可能となった。

 続投した寺原は森に左前安打を打たれ。メヒアの一打で同点とされた。2番手でマウンドに上がった飯田が、決勝点となる中犠飛を許し、結局交代の遅れが響いた形となった。佐藤コーチは「オレが勝手に続投と思った。戻って聞いたら代えたかったみたい。オレの失敗」と反省。通常、交代ケースは監督が決断後に佐藤コーチがマウンドに行くが、この時は決めていなかった。

 工藤監督は「何とかテラ(寺原)に勝ちをつけてやりたかった」と温情で判断が遅れたことも認めた。「監督が難しいとは思わないが、スピードを持って(判断)できなかったので反省です」とも。チームの連勝は3で止まり、対西武の連勝も6でストップ。終盤戦に向け、ベンチワークの糧とする1敗となったはずだ。【石橋隆雄】

 ◆公認野球規則 8・06「監督が投手のもとへ行く制限」【注2】監督(またはコーチ)が投手のもとへ行った後、ファウルラインを越えて引き上げたら、その投手は、その時の打者がアウトになるか、走者になるか、または攻守交代になるまで投球した後でなければ退くことはできない。ただし、その打者に代打者が出た場合は、この限りではない。(原文まま)