広島先発の黒田博樹投手(40)は4回4安打3失点で降板した。

 1回に打球に右手を出し、直撃するアクシデントもあった。病院には行かず、アイシングで様子を見た。

 1回2死一塁。打者平田への初球は痛烈なライナーとなって黒田を襲った。投げ終えた直後の黒田は流れる体を止めながら右手を大きく上げ、打球に差し出した。ボールが手のひらに当たるとパチンと大きな音をたてて、三塁方向へと転がった。内野安打となったが、黒田が表情を変えることはなかった。数球の確認の後ベンチに戻って治療を施すと、再びマウンドへ上がり後続を断った。2回、3回は3者凡退でしのいだが、4回に中日遠藤に先制3ランを浴びた。5回に2死で打席が回り、代打会沢が告げられた。

 「僕自身は投げられると思ったので。マウンドに上がった以上、何も言い訳は出来ない。あの3ランが決勝点。すごくもったいなかった」

 球宴で打球に手を出した際には「小さい頃から野球をやってきたもの(本能)かも」と苦笑いを浮かべていた。商売道具を差し出すことには賛否両論がある。だがまさに投手としての本能が、黒田を動かしていた。