今秋のドラフト候補が、運命の日へ、アピールを続ける。東農大北海道の最速149キロ右腕、井口和朋(4年=武相)は大学日本代表の一員として今日26日、U18(18歳以下)W杯に出場する高校日本代表との壮行試合(甲子園)に臨む。甲子園を沸かせた球児をねじ伏せ、兄貴分の貫禄を示したい。

 井口が負けられないマウンドに立つ。大学日本代表と高校日本代表との対戦。世界大会を控える“弟分”たちを送り出す試合だが、打たれるわけにはいかない。「楽しみだけど、高校生は良い選手がそろっているので」と、ちょっぴり緊張気味だ。

 最も警戒するのは、唯一の1年生、早実(西東京)の清宮幸太郎内野手だ。早実では3番を任され、甲子園でも19打数9安打8打点、2本塁打を放った怪物ルーキー。対戦が巡ってくれば、注目されるのは必至だ。「ライト(スタンド)を見上げないように気をつけます」と弱気発言も飛び出すが「自信のある真っすぐとスライダーでしっかり抑えたい」と気持ちを奮い立たせる。

 大舞台の経験が自信となっている。7月のユニバーシアードでは2試合に2番手で登板し、計3回1/3を被安打3、4奪三振、無失点。台湾との決勝は雨天中止(両チーム優勝)のため、結果的に優勝決定戦となった米国との準決勝では、自己最速を2キロ更新する149キロをマークし、勝利投手となった。日本を“世界一”に導き「高いレベルの中に入ってできたのは一番良い経験。制球力が大事だとわかった」と手ごたえもつかんだ。

 北海道6大学は、22日に秋季リーグ戦が開幕した。井口は先発した初戦の釧路公立大戦で7回を3安打、無失点。日本ハム白井スカウトが「インコースに攻めていける真っすぐが魅力。春からキレが良くなっている。順調」と評価する内容で、最後のシーズンに突入した。目標は明治神宮大会(11月14日~、東京・神宮)だが、高校日本代表戦は、その前に得たアピールチャンス。「監督さん(東農大北海道の樋越勉監督=58)に『打たれたら知らないぞ』とプレッシャーをかけられているので、頑張ります」。好投でプロへの第一関門突破とばかりに、マウンドへ向かう。【保坂果那】

 ◆井口和朋(いぐち・かずとも)1994年(平6)1月7日、横浜市生まれ。横浜森の台小1年からDMファイターズで野球を始める。武相-東農大北海道。家族は両親と兄、弟、妹。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。