みんなで盗塁革命! 秋季キャンプ中の中日が18日、本格的な盗塁強化に乗り出した。ナゴヤ球場室内での全体練習で、午前中いっぱいを使って二盗、重盗の動きを繰り返した。英智コーチは05年以来となるチーム盗塁数3桁での「圧倒的なリーグ1位」を掲げ、量産計画に入った。

 人工芝を噛(か)むスパイクの音。ベースカバーの遊撃手は容赦なく走者の脚にタッチする。張り詰めた空気が室内練習場に充満した。谷繁元信監督(44)がシンプルに意図を説明した。

 「ただ単純に走ったからって盗塁が増えるわけではない。でも盗塁を増やしていかないといけない」。今季も積極的にベンチが走者を動かして得点をひねり出してきたが、それをさらに突き詰める。

 繰り返したのは一、三塁からの走塁。亀沢らがスタートを切り、ガチンコで守備側と勝負した。投手、捕手も野手も手抜きなし。1人1人、スタートから二塁到達までのタイムを測った。守備のピックオフ練習も兼ねており、監督、コーチ陣が何度もすり合わせをするシーンが見られた。

 今季は88盗塁でリーグ2位。目標のメドは1位巨人の99個を超える3桁。中日では05年の101個以来の高水準だ。落合監督時代の黄金期も実はさほど盗塁数は多くなかった。

 走塁担当の英智コーチが強調した。「やってみて課題が浮き彫りになった。リーグ2位では5位6位と変わらない。圧倒的な1位を目指す。やり方はたくさんある。走れない選手にも走るチャンスは落ちている。いかにみんなで走るかが、大きな戦力になる」。

 球団は本塁打の打てる新助っ人の獲得に乗り出しているが、来季も長打に頼る野球はできない。「走れる」選手は盗塁王経験者の荒木と大島のほかに亀沢、平田、遠藤くらいか。だが何より重要視しているのはそれ以外の選手の意識と技術の改革。中日は覚悟を決めて「走る野球」を旗印に掲げる。【柏原誠】