またサプライズ! 中日谷繁元信監督(44)が29日、早くも大野雄大投手(27)を来季の開幕投手に“指名”した。地元テレビに出演し、明言。「大前提」という表現で、故障さえなければそのまま初の大役を任せる。過去2年は最後まで争わせたが、3年連続2桁勝利で選手会長にも就任する左腕に真のリーダーに成長してほしい願いも含めた。

 CBCテレビ「サンデードラゴンズ」に生出演した谷繁監督はあっさり個人名を口にした。「大野を大前提に考えていくと思う」。事実上の指名だった。

 選手起用に関しては慎重姿勢を貫いてきた指揮官だけにサプライズ感は大きい。監督就任から2年を経て感じていた課題がある。チームリーダーの不在だ。大野には投手の、そしてチームの大黒柱に成長してほしい思いがある。

 「今年1人でローテーションを守って、3年連続で2桁を勝って、そろそろ本当の意味で責任感を持っていかないと。こちらもそういう投手を作っていかないといけない。1、2年目には出てこなかった。あいつには時間をかけてきた。僕も何度も話をしてきた。皆さんが思っているよりしっかりしてますよ」。

 まだ本人には伝えていないが、大野が胸に秘めている自覚は指揮官もよく理解している。過去2年の開幕投手はオープン戦段階まで争わせた。初めて本命として名を挙げ、責任感を促した。来季から大島に代わる選手会長に決まったこともあり、27歳には「おまえが引っ張っていけ」と言葉を投げかけてある。

 6年目の念願だ。14年は開幕投手を自ら立候補したが川上が指名され、今年は山井。谷繁監督はじめ首脳陣から成長を求められ続け、今年は前半戦からチームをけん引。中盤戦から勢いが落ちたことで、監督は「チームが苦しんだときに勝ち切れなかった。1つ大野が勝ってくれればまた違う形になった」と注文をつけた。故障なく順調にキャンプ、オープン戦を過ごせば大野が3月25日の阪神戦(京セラドーム大阪)のマウンドに上がる。名実ともにチームの顔になる16年。左腕の1球から中日の逆襲が始まる。【柏原誠】