中日ドラフト2位佐藤優投手(22=東北福祉大)が3日、ラッキーチャンスでアピールに成功した。ブルペンに入る前、捕手が足らずに待機していると、そこにやってきたのは谷繁監督。「受けてやる。入れよ」と声をかけられ、マウンドに立つと、目の前には指揮官がミットを構えていた。

 “日本一の捕手”めがけて直球のみ20球を投げた。佐藤は「びっくりとうれしいという気持ち。緊張して力も入りました」とガチガチ。高めに浮いたり、ワンバウンドすることもあった。それでも、キャンプ初日に「戦力となる」と断言していた谷繁監督に、強烈なインパクトを残したようだ。じかにミットでその球を受けた指揮官は「緊張しているんだろうなとは思っていましたよ。いいボールがきている」とうなずいた。

 谷繁監督に受けてもらえただけではなく、次は森ヘッドコーチから「カットボールを覚えたら楽になるぞ」と新球習得を勧められた。スライダーの曲がりが大きいため、小さな変化の球種を取り入れるという。これまでカットボールは投げたことがなかった。握り方を教えてもらうと、すぐに試投。この日投げた111球のうち、約40球を費やした。佐藤は「2、3球しかいい球がなかった。これから覚えていきたい」と励む。

 キャンプ第1クールは終了。新人投手は1位小笠原が左肘に不安を抱えるためブルペンに入らず、4位福は左足首捻挫で2軍スタート。唯一、元気な佐藤が1歩リードした。緊張の連続だったが、大きな収穫を得た。【宮崎えり子】