悪夢を振り払ったロッテ伊東勤監督(53)は少しおどけた。「途中、ちょっとよぎったよ!」。5回を終え4点ビハインド。交流戦明け初戦12年連続黒星が頭をかすめた。だが直後に打線がつながった。6回2死走者なしから2四球を挟む6連打で6得点。リーグトップ今季21度目の逆転勝ちだ。「逆転のロッテ」で、嫌なジンクスを破った。

 根拠があった。西武高橋光は、5月に6回6安打1得点に抑えられ白星を献上した相手。だが、ここ2試合は勝てていなかった。立花打撃コーチは「チャートを見ると変化球が入っていない。追い込まれても、粘れば甘い球が来る」と見ていた。伊東監督も同感だった。「球の走り、制球とも良くなかった。我慢すれば、いつかつながると思っていた」と打ち明けた。

 反撃の適時打は2ストライクからだ。2死から田村が二塁打。続く加藤はカウント3-1から「ボールと思った」低め直球を見逃したが、ストライクだった。それでも「何球もストライクが続く感じじゃなかった。粘れば四球もあるし、直球は振り遅れてもファウルでという気持ちだった」と、見極めを重視。次のスライダーが浮いたところを右前に運んだ。次の細谷に、角中と、この回高橋光から放った適時打3本は、いずれも2ストライクから。土俵際の粘り腰の勝利だ。

 貯金は今季最多タイ13。伊東監督は「勝つと負けるでは、えらい違い。いい形でつなげられた」と締めた。首位ソフトバンクも勝ち、ゲーム差7・5は変わらない。だからこそ、食らいついていく。【古川真弥】