ソフトバンクが連敗を6で止めた。

 4番内川が腰痛のため途中交代するピンチを代役の明石健志内野手(30)が救った。0-0で迎えた6回2死一、三塁で右前に先制適時打。3回守備から内川に代わった代役4番のバットでロッテを振り切った。7回無失点の先発千賀から継投し1安打完封リレーを完成。王者の強さがよみがえった。

 重たい空気を明石が振り払った。内川が腰痛を訴え、3回の守備から代わって一塁で出場。2打席目は0-0の6回2死一、三塁だった。「ここでまわってくるなんて、4番はエグいと思った」。ここまで全105試合不動の4番を打ってきた主将の重責を肌で感じた明石は、外角低めのチェンジアップを最後は右手だけで拾い右前へ。思わずガッツポーズが出た。「自分も切り替えられる一打。チームも救って、自分も乗っていく一打になりました」と喜んだ。さらに吉村にも中前2点適時打が出て、この回3点。2死走者なしから死球を挟んで4連打と、打線がつながった。

 右肩痛が完治し7月29日に1軍に復帰した明石も、直前の5試合では21打数2安打と絶不調。低めの変化球を振らされていた。「振るなと言われるときつい。振っても修正できる。昨日、今日とタイミングの取り方もよかったし」。勇気を持って積極的にチェンジアップに手を出し適時打にした。今季は開幕戦で5番起用も3試合に出場しただけで3月28日に2軍落ち。キャンプ中の打撃練習中に右肩を痛めていた。骨挫傷や肩甲下筋の部分断裂など重傷だった。「3段階くらいの痛みがあった。今までで一番痛い痛み」。ケガで試合に出られない苦しさを誰よりも味わってきた男が代役4番として輝いた。

 連敗を6でストップした工藤監督は「長かった。選手は僕以上にそう思っている。大事なのはここから」と切り替えた。もがき苦しんで手にした64勝目の白星。再び勢いに乗る。【石橋隆雄】