ロッテ愛は永遠に-。サブロー外野手(40)が引退試合のオリックス戦(QVCマリン)に臨んだ。「4番DH」で先発出場。3打席連続空振り三振で迎えた9回裏、最後の打球にらしさが詰まった。1死走者なし。カウント1-1で、平野のアウトロー149キロを捉えた。右中間を破り、二塁ベースで満員御礼の歓声を浴びた。「打たせてくれた」と控えめも「やっぱり右方向やな、と。右中間の打球が自分の中では一番きれい」と続けた。通算5917打席目。一時代を築いた「つなぎの4番」に、ふさわしい終わり方だった。

 本当は1打席だけと決めていた。ならばと、伊東監督は「1番右翼」を打診。それでも「邪魔はしたくないです」と代打を希望した。ところが、前日にチームはCS出場を決め、勝敗抜きの環境が整った。あらためて伊東監督にフル出場を打診され、ありがたく受け入れた。9回には、左翼、右翼と守りにも就いた。「監督にお礼、言わなきゃ」。右翼に向かう途中、耐えきれずに目元をぬぐった。

 22年間の現役生活で、もっとも大事にしたものは「自分のスタイル」という。「人に、どうこう言われようと貫いた」。好例が自らの代名詞だ。「4番は、やはり長打で打点を稼ぐ。でも、打線を線と考えれば、4番も9番も一緒。特に4番の意識はなかった。ひたすら、次の打者につなぐことだけ。勝てれば何番でもいい」。勝ちにこだわる姿勢が、ファンを、チームメートを、引きつけた。

 試合後のセレモニー。子供の頃の夢、プロ野球選手をかなえた男は言った。

 サブロー 私にはもう1つの夢があります。この千葉ロッテを日本一の球団にすることです。その夢に向かって勇往まい進して参ります。

 今後は未定だが、第2の人生の宣言だった。仲間の手で10回、宙に舞った。記念撮影はピースサインで締めた。「最後は笑いたかった」。晴れやかに、去った。【古川真弥】