振って、振って、振りまくった。巨人重信慎之介外野手(23)が6日、計756回の“鬼スイング”で体を追い込んだ。高橋監督が「量をやらないと」と提唱する宮崎秋季キャンプ。2日目で重信は右手の皮がめくれあがるなど、野手陣の手はマメでボロボロ。この日も約10時間のハードトレで、心身ともにみっちりと鍛え上げた。

 テーピングを取ると、右手の皮はめくれ上がっていた。痛々しさを感じさせる右手を見ても、重信に満足感は全くなかった。「いくら振っても、満足することはないです」。二岡打撃コーチ指導のもと、この日振り込んだスイングは756回を数えたが、なお高みを求めた。

 猛烈にスイングを繰り返した。重信は午後1時23分から打撃練習を開始。ティー打撃では速いペースで打つ早打ちを含め、296回を数えた。フリー打撃と合わせ、全体練習で374回。特打ではロングティーなど、257回だった。自主練習ではバント練習に重きを置き、スタンドティー打撃と素振りで計125回。計756スイング(全体、特打中の合間の素振りは含まず)で1日を終えた。

 中身の濃さが重要だった。この日も、技術練習の前に徹底的に下半身を強化。高橋監督も見つめる中、サンマリンスタジアム宮崎のスタンドの階段を猛ダッシュ。70段の階段を21回駆け上がった。過酷さに悲鳴も漏れ聞こえたが、スイング力に直結する土台をしっかりと固めた。

 初日は「ケンカボール」と呼ばれるユニークトレが注目を浴びたが、キャンプ最大のポイントは練習量に置かれる。育成選手9人が入った「若手底上げキャンプ」で、高橋監督も「数をやらないと」と強調。雄たけびを上げ、バットを振る姿と選手の手が練習の過酷さを物語った。

 猛練習する若手の姿に、高橋監督も自身の現役時代を思い返した。「キャンプでは1クールに1回は、1000スイングする日を作っていたね」。天才と称された超一流でも、努力を重ねた。重信は「疲れてからは力が抜けて、今までと違う感覚が出てくるんです」と言った。2年目の飛躍に向け、秋の猛練習が新たな引き出しへのヒントにつながる。【久保賢吾】