ロッテの今季最大の収穫は、正捕手が固まったことだ。高卒4年目を迎えた田村が開花。116試合でスタメンマスクをかぶり、課題だった打撃も向上した。規定打席には達しなかったが、打率2割5分6厘を記録。昨季の1割7分から大きく伸ばし、ベストナインにも選ばれた。伊東監督が就任して以来、急務となっていたポスト里崎の育成ができたシーズンだった。

 正捕手が定まったことは、投手陣にも当然、プラスの影響を与えた。特に、石川が防御率2・16で最優秀防御率の活躍。「田村のリードのおかげ」と感謝している。プロ入り以来、3年連続2ケタ勝利と、もともと高い実力を持つが、今季は14勝5敗で貯金を9つも稼いだことは大きな進歩だった(一昨年は10勝8敗、昨年は12勝12敗)。来季も正捕手田村が投手陣を引っ張っていく形が出来れば、大きく打ち込まれる心配は少ないだろう。

 来季の課題は明確だ。退団したデスパイネの穴を埋められるかに尽きる。24本塁打、92打点はチームトップ。調子のムラもあったが、打席に立つだけで相手バッテリーにプレッシャーを与えられる存在だった。他に長打を打てる選手が少なく、不動の4番が抜けた影響は極めて大きい。

 レンジャーズ3Aのダフィーを獲得したが、大砲タイプではない。フロントは新たな大砲の獲得を目指しているが、デスパイネ流出決定が12月後半までもつれたことで、他球団と比べ、補強に出遅れてしまった感は否めない。今後の補強次第ではあるが、現状では、足を絡めながら、つないで点を奪い、守備と投手力で競り勝つスタイルを強いられそうだ。【ロッテ担当=古川真弥】