交渉開始から1時間がたっていた。ロッテ鈴木大地内野手(27)が27日、ZOZOマリンで契約更改。主力は下交渉で基本合意してから、本交渉に臨む。大半が10分、20分で終えていた。今年初の交渉決裂か。違った。「(1億円)ぴったりぐらい。金額の話はすぐ終わりました。いろんな話ができました。もめてません」。2000万円増で推定年俸1億円に到達。キャプテンは自ら切り出した。

 退団したデスパイネに代わる補強は、どうするか。ファンサービスは。さらに力を入れて意見を交わしたのは、設備面。「芝が古くなっているので」。今の人工芝は11年に張り替えられた。来季まで使用することが決まっているが、特に鈴木が守る遊撃のあたりは傷みがひどい。林球団本部長からも「気づいたことは言ってほしい」と頼まれた。

 肝心の金額は文句なしだったが、大台到達にも「喜びよりも、いろんな方への感謝の気持ちです」というのが鈴木らしかった。2年ぶり全試合出場。しかも、全てスタメンだ。目標の打率3割には1分5厘、届かなかったが、堂々のベストナイン。「8月半ばまで3割を維持したのは初めて。あとちょっとのきつさ、悔しさはあるけど、そこまでやれた収穫は大きい」と胸を張った。

 来年1月には若手を引き連れ、高知、沖縄で自主トレを行う。「心から伊東監督を胴上げしたいと思う。感謝だけでは、恩返しにならない」。有言実行で、責任を果たす。【古川真弥】