来秋は、話題豊富なドラフトとなりそうだ。社会人の目玉は、JR東日本・田嶋大樹投手(20=佐野日大)。佐野日大時代もドラフト1位の評価を受けるも、プロ志望届を提出せずにJR東日本に入社。球速は7キロアップの最速152キロに進化し、ドラ1の評価を受ける。

 「右の安楽、左の田嶋」と称された青年は20歳の今、進化を遂げ、プロへの扉に手をかける。来秋のドラフト1位候補に挙がるJR東日本・田嶋は8月、最速152キロをマークした。先発左腕ではプロでも西武菊池ら、少数の150キロ超。2年間で球速を7キロアップさせ、成長を示した。「いよいよ、だなという感じ」。ドラフト解禁を前に、気持ちを高ぶらせる。

 心技体で成長を遂げた。15年9月に侍ジャパン社会人代表に選出され、BFAアジア選手権に出場。オリックス1位の山岡(東京ガス)らとプレーし国際舞台で「心」を鍛えられた。「技」では、1年目にテークバックを小さくする投球フォームに修正。スピード、キレ、制球が上がった。走り込み、体幹強化などで体重は72キロから5キロ増。肉体強化にも成功した。

 安楽ら同世代がプロで飛躍する中、「自分は自分」と断言する。「試合もほとんど見ないし、意識は全くないです」。2年前、「プロの世界が想像できなかった」とプロ志望届を提出せず、JR東日本への入社を決めたが、自分の決断には胸を張った。今月、東京駅で研修を受け、改札などにも立ち「本当にいい経験ができた」と回想した。

 聖地での興奮を再びプロの舞台で体感する。3年春の選抜大会、「威圧感がすごかった」と感じた巨人岡本(智弁学園)から2三振をマーク。「楽しくて、わくわくしながら投げた。そういう勝負をしたいです」。目標に掲げる都市対抗優勝を成し遂げ、夢の舞台に飛び込む。【久保賢吾】

 ◆田嶋大樹(たじま・だいき)1996年(平8)8月3日生まれ、栃木・宇都宮市出身。小学3年で野球を始め、中学時代は鹿沼ボーイズで、日本代表として世界選手権に出場し銅メダルを獲得した。佐野日大3年春の選抜大会では、1回戦の鎮西戦で毎回の12三振をマークするなど、チームを4強に導いた。182センチ、77キロ。左投げ左打ち。家族は両親と弟。