春季キャンプ各クール終了時に、担当記者が選んだ「ピカイチルーキー」を紹介します。イチオシ新人を心技体3段階(◎文句なし、○順調、△もうひと踏ん張り)でチェックします。


中日柳、新人らしくない落ち着きぶり

 中日・ドラフト1位柳裕也投手(22=明大)【心=◎、技=○、体=○】

 初の実戦登板から2試合連続で無失点投球を続けている。19日に2度目となる練習試合の楽天戦(北谷)に7回から登板。安定感のある投球で1イニングを3者凡退。カーブとスライダーを交ぜ打ち取った。

 15日の初登板、韓国・KIA戦は2回無失点。走者を背負いながらも、けん制で走者を刺すなど落ち着きぶりは、いい意味で新人らしくない。

 2戦連続で0点に封じ、上々のスタートを切った。即戦力右腕は「結果的に抑えたのは良かった。打者と自分が投げていての反応をまだ感じ切れていない。もっと良くなっていけるようにしていきたい」と満足していない。今後は実戦登板を重ね、投球数を増やしていく予定。結果を出し続け、先発ローテーション入りを目指す。【中日担当 宮崎えり子】

7回から登板し1イニングを3者凡退に抑えた中日柳(撮影・今中雄樹)
7回から登板し1イニングを3者凡退に抑えた中日柳(撮影・今中雄樹)

阪神小野に川藤氏が喝!カレー食べ方×

 阪神のドラフト2位小野泰己投手(22=富士大)【心=◎、技=○、体=△】

 12日、初のフリー打撃登板。新外国人エリック・キャンベル内野手(29=メッツ)に対して35球を投じ、安打性の打球をわずか3本に抑え込んだ。

 心 キャンプ序盤から先輩たちに影響されることなく全力投球を封印。ブルペンでは5割程度の力で投球練習を繰り返した。中盤からはギアを上げ、フリー打撃にしっかりと合わせた。

 技 外角の直球がナチュラルにスライダーする「真っスラ」が特徴。「右には逃げるし、左には食い込むので1つの武器として使っていければいいと思う」。新たな武器として、今後も使っていく考えだ。

 体 体は正直、細い印象だ。キャンプでは川藤幸三OB会長(67)からダメ出しされた。ランチタイムにカレー1杯を上品に食べている姿に「メシの食い方が悪い!」とどやされた。下半身がどっしりしてくれば、楽しみだ。【阪神担当=桝井聡】

けん制について小野(左)にアドバイスする金本監督、中央は香田コーチ(撮影・加藤哉)
けん制について小野(左)にアドバイスする金本監督、中央は香田コーチ(撮影・加藤哉)

ロッテ1位佐々木、目的意識がしっかり

 ロッテのドラフト1位、佐々木千隼投手(22=桜美林大)【心=◎、技=○、体=○】

 14日、フリー打撃に初登板。プロに入って初めて打者相手に投げた。計3人に69球で、安打性は4本だった。ボール球は26球を数えたが、ファウルを16本、打たせた。

 心 これまでブルペンで思うような球を投げられず、苦しそうな表情を見せる時が少なくなかった。そんな中でも「試行錯誤しています」と、通常のノーワインドアップではなくセットから投げたり、コーチやチームメートからもらった助言を部屋で思い返したりして、打開策を探ってきた。目的意識がしっかりしているからこそ。◎をつけたい。

 技 フリー打撃登板を終え、「しっかり指にかかって力強い球はあった」と手応えがあった一方で、「投げ急ぐ時に体が開き、抜けている」と、課題も残った。英二投手コーチは「持っているものが少しずつ、出始めた」と見ている。発展途上の○だ。さらに実力が出れば、◎となる。

 体 楠トレーニングコーチは「涌井、石川に比べたら劣るが、新人としては高いレベル。必死に付いてきている」と評価。プロでの練習に耐えられるだけの体力はある。○だ。【ロッテ担当 古川真弥】

フリー打撃に登板したロッテ佐々木(撮影・江口和貴)
フリー打撃に登板したロッテ佐々木(撮影・江口和貴)

オリックス黒木、打撃投手でも気迫全開

 オリックス・ドラフト2位黒木優太投手(22=立正大)【心=○、技=○、体=○】

 14日にフリー打撃に初登板し強い闘争心を見せた。そこで足の上げ方などで投球フォームに緩急をつけ、打者のタイミングをずらせる本番さながらの投球を見せた。

 打撃投手は打者に気持ちよく打たせるのも役割の1つだが、黒木ら新人にとっては開幕1軍に向けての大事なアピールの場。「やっと戦える! と楽しみにしていました。ぼくは負けず嫌い。打撃投手でも、絶対に打たれたくないんです」と、優しい表情とは裏腹の気迫全開状態。大学3年秋の国士舘大戦で中継ぎ3回で6点を失い、悔しくて眠れないこともあったとか。18日は初の対外試合、広島戦に登板する。侍ジャパンメンバーに真剣勝負を挑む。【オリックス担当 堀まどか】

オリックス黒木優太 ブルペン投球(写真は2017年2月3日)
オリックス黒木優太 ブルペン投球(写真は2017年2月3日)

ソフトバンク九鬼、父球団にプロ初安打

 ソフトバンク・ドラフト3位九鬼隆平捕手(18=秀岳館)【心=◎、技=○、体=△】

 13日、B組と社会人パナソニックの練習試合に6回、代打で登場し左前へ“プロ初打席初安打”。2打席目は併殺、同点の9回裏2死満塁では遊直に倒れヒーローにはなれなかった。

 父義典さんはパナソニックのコーチ。父が相手ベンチで見守る中で安打を放った。九鬼は「父と試合をするなんて不思議な感じですね」と笑った。“初安打”のボールは大事な宝物となった。現在、右肩違和感でノースロー調整が続いているが、新人離れした打撃力を発揮した。【ソフトバンク担当 石橋隆雄】